皆さんは韓国人留学生、イ・スヒョンさんを覚えておられるであろうか?
平成13年にJR山手線の新大久保駅で線路に転落した人を助けようとして亡くなった韓国人留学生、その人である。
あの事故から、26日で12年の月日が流れた。
彼を悼むニュース(NHKニュースより)を二件紹介しよう。
事故をきっかけに制作されたという日本の映画の試写会が、ソウルで留学生の両親も招いて開かれました。
映画「グスコーブドリの伝記」は、宮沢賢治原作のアニメーション映画で、日本では去年公開され、韓国でも上映が決まったため、24日、ソウルで試写会が開かれたました。
映画は、主人公のブドリが、みずからが犠牲になることで村を救うというストーリーで、新大久保駅の事故で死亡した韓国人留学生、イ・スヒョンさんたちの勇気ある行動をきっけけに制作されたということです。
試写会では、映画を制作した清水義裕さんがビデオでメッセージを寄せ、「人間だけが困っている人を助けられる生き物です。ぜひ韓国の小学生に見て欲しい」と話しました。
映画を見た若い女性は、イさんの遺族に送られた見舞い金から奨学金を受けて日本で学んだということで、「イさんの事故は韓国でも影響が大きく、イさんを誇りに思っています」と話していました。
事故から12年になる26日、新大久保駅を訪れる予定のイさんの母親、シン・ユンチャンさんは「他人を助けたいという映画の主人公が、スヒョンと似ていて胸が熱くなりました」と話し、父親のイ・ソンデさんも「他人を尊重し、危険なときには助けあえる精神を学んで欲しいです」と話していました。
もう一つのニュースは、28日、韓国人留学生の両親を招いて、初めての特別授業が埼玉県の小学校で行われました。
12年前の1月26日、JR新大久保駅でホームから転落した男性を助けようとした韓国人留学生のイ・スヒョンさん(当時26)とカメラマンの関根史郎さん(当時47)の2人が線路に降り、電車にはねられて死亡しました。
スヒョンさんの行動は、10年前から小学6年生の道徳の教材になり、埼玉県越谷市の城ノ上小学校では毎年、スヒョンさんについて授業で伝えてきました。
28日は、スヒョンさんの両親を初めて小学校に招いて特別授業が行われ、まず、日本と韓国の友好の懸け橋になりたかったというスヒョンさんの夢や、事故の日の行動をどう思うか、子どもたちから意見を聞きました。
子どもたちからは「国は違っても同じ人間だから助けてあげたいと考えたと思う」などさまざまな意見が挙がりました。
これに対しスヒョンさんの両親は「皆さんがスヒョンのことを一生懸命、勉強してくれているのでスヒョンの夢はずっと広がっていくと思う」とメッセージを伝えました。
授業を行った福島早苗教諭は「両親の思いは確実に子どもたちに伝わったと思います」と話していました。
今、私たちはお隣の国と領土について主張しあっています。
そこには、さまざまな国益があり、国民の利益があるからなのでしょう。
しかしながら、スヒョンさんはこのような両国の争いを善しとしたでしょうか。
どのような国も、どのような民族でも人間として同じであるということを彼は身をもって私たちに教えてくれました。
私たちが彼の御霊を祈るのであれば、これ以上両国に歪が生まれないことを願います。
私たちは彼の死を決して無駄にしてはいけないのです。
今一度、冷静に考えてみてはどうでしょうか。