生石地区の勉強会のテーマが3回目と4回目を「大災害が発生すると」というテーマにしたため、講師をお願いしている地元にお住まいで、愛媛県防災インストラクターでもある西藤健次さんと打ち合わせをすることが頻繁にあります。
西藤さんは既に退官をされておられますが自衛隊出身で、さまざまな大災害の被災地に赴いた経験をお持ちです。
また、危機管理についても知識が豊富で、なによりもこの生石地区の地形や災害の歴史など、その知識は多岐にわたっておられます。
本来であれば、この分野の権威ある人たちに講師をお願いすべきかもしれませんが、この地区に住み、生活をしている、いわゆる当事者意識を有する人の方が話の内容に重みがあるように感じたからです。
地域には、さまざまな人的資源が眠っています。
この人的資源を発掘し、活用するには平素の四方山話から発展する機会が多いのです。
そして、失礼を承知で、本人に猛烈にアタックする。
そのときに大切なことは、なぜ自分が取り組んでいるのか、明確な理由を端的に説明できなければなりません。
そして、明確なテーマが必要です。
例えば、今回であれば「一人でも多くの生命を守る」でしょうか。
西藤さんに「住んでもいない地区のことをここまでよく考えていただけますね。その理由は何ですか?」と聞かれたことがあります。
応えたのは、「カミさんが、『あんたら役人さん(妻は、よく私のことをこう呼ぶ)は平素、あんまり役に立っている実感がないのよね。せめて、大災害くらいは本当に役に立って欲しいよね。』と、よく言うんですよ。そういわれて自問自答すると、『そのとおりやなあ』と。なら、普段は昼行灯でもいざという時くらいは、がんばろうて。そしたら、いざという時に役に立つためには、平素がかんじんやとわかってきたんです。それをやってるだけです」
「あんた、おもろいねぇ。(この地区のために)一緒にやりましょう。」
「でも、大層なことはようせんのですが(笑)」
それから、大地震が発生した直後からのシュミレーションを行う。
そして段階ごとにどのような対応をすべきかを話し合う。
私が思いつきでいったことが、自衛隊が危機管理として対応していることと同様で理に適っているということをわかりやすく解説してくれる。
物理的なことや制度、規制的なことはとりあえず横において、自由な発想をめぐらす。
結構、無責任な話が続く。
その分、楽しい時間が経過する。
「あんたと話してたら、今まで難しかったことができるような気がしてきた。不思議やなあ。」
「でも、西藤さん、これって私がするんではなく、西藤さんを含めた地域の人がやるんですよ。」
「そう言われても腹がたたんのが、また不思議や。」
「多分、根っこにお互い一人でも多くの人を助けたいという思いがあるからではないですか。」
「そうやなあ。がんばらないかんなあ。」
「西藤さんがそう思ってくれたら、何よりも心強いです。よろしくお願いします。」
「なんか上手いこと乗せられたなあ。あんたに言われたら、断れんわい。」
心から感謝である。
西藤さんのような方を一人づつ増やすこと。
それこそが私のミッション(使命)である。