夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

魂の重さ

2009-06-25 | poetry
  魂の重さ

一人暮らしをしているとお菓子を作りたくなる。
名前ほどの違いもないコンビニ弁当と、
どれも人気のコンビニスイーツをぶら下げてしんとした部屋に帰り、
食べ終わってたくさんの燃えないゴミを片付けていると「バカヤロー」って言いたくなるから。

とは言え、お菓子作りには様々な道具が必要だ。
大きなボウル、ゴムベら、計量カップ、デジタル秤……
収納の少ないワンルームマンションなのにハンドミキサーまで買ったのは、
相当あたしも傷んでいたんだなって思う。

理科の実験のように分量を正確に測らないとシフォンケーキはできない。
理科実験室のような広々とした薄いグリーンの台がほしい。
冷たい明るさとよそよそしい匂いが好きだったから。
理科準備室の試験管や試薬瓶はプラスティックのような嘘くささがないから。

一切れ食べて、愚痴のようにぼそぼそした舌触りに不満が残って、
片付けが終わった後(狭いキッチンの洗い物は骨が折れるんだ)、
夜中に起き出して、生クリームを21グラムだけ作った。
どこかでそれが魂の重さだって聞いたから、
切り口にも丁寧に塗っておいた。


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