つい最近知り合いから菊池伶司を教えてもらった。1946年に生まれて1968年に22歳で亡くなったそうだ。
「Alligator Message」(1968 銅版画 42x37cm、第36回版画協会新人賞受賞)見た瞬間、「あ、こりゃすごいや」と思った。スマホの画面でモノクロのエッチングでも、ただならぬものを感じた。ワニと言うよりプランクトンの顕微鏡写真のように見える。もっと拡大して仔細に見たい . . . 本文を読む
ええっと、明月記というか、達磨歌についてだいぶ材料も集まって書くことはあるし、書き始めてもいるんですが、書きたいことの交通整理ができなくて、アップできないでいます。
結論としては800年前のダダイズムっていうかそれ以上の美的ナンセンスだというおもしろいものだけに文章力の乏しさに改めてトホホとなって、昨日のお天気みたいに暗くなってました。
で、行き詰った時の第2弾としてのデジブックで、去年の . . . 本文を読む
07年12月のデジブックを作りました。1か月ぶりくらいですか。
最初に作った08年12月のに成り行きでフランス語のサブタイトルをつけたんで、次の07年11月のは英語、で今度はドイツ語になりました。シューベルトの歌曲集をパクっただけで、深い意味は(浅い意味もw)ありません。
デジブックは無料のユーザーは2月から30日間で消えるそうです。まあ、それで十分だとも思います。あまりいっぱいになると重くな . . . 本文を読む
我々は先日、渋谷のBunkamuraのミレイの展覧会へ行って来た。
「『オフィーリア』に会いに行ったわけね」
「うん。とても久しぶりだね。」
「どうだった?昔のあこがれの人に再会した気分は」
「あれ?こんなに小さかったのかなって感じ。76cm×112cmだから小さい絵じゃないけど、テート美術館で見たときは目の前に広がるような」
「そういうことってあるね。入り込んだ心の面積の問題?」
「画面の . . . 本文を読む
1か月以上、映画について書いていないけれど、それは面倒だからで実際にはかなり見ている。いちいち書いていると見るのさえ面倒になってしまうからやめていただけで、とはいえ溜まってくると気になるのも因果な性分だ。
今、連載している「明月記」関係の記事は書き下しとはいえ漢文を前に頭をひねらないといけないし、あちこちの文献も見なくてはならないので手間も掛かる。ブログの間隔が空くのもあまりよくないと思っ . . . 本文を読む
前編の「DEATH NOTE デスノート」を見てるときにブログを書くネタは思いついたんですが、最後の方で弥海砂(戸田恵梨香)が出てくるところから明らかに後編を意識したものになっているので、「the Last name」を見てからにしました。
いろんな要素が混じった映画で、それが大ヒットにつながった原因でしょう。いちばん大きいのはデスノートという「魔法の道具」の魅力です。神話や昔話には、どんな願い . . . 本文を読む
この作品はミュージカル映画史上の傑作と言われているそうで、フレッド・アステアの代表作でもあるようです。歌って踊って恋をしてという楽しく、肩の凝らない内容ですが、その味わいを深めているのはある種の苦味であるように思いました。
まずアステア演じる主人公は落ち目のダンサーです。ミュージカルの花形スターだった彼は有名ではあるものの使いにくい存在です。それを旧知の脚本家夫妻が今をときめくプロデューサー兼 . . . 本文を読む
「パート1よりもパート2の方がいいと言われる数少ない作品の一つ」だとこの間言ったシリーズの第3作ですが、「映画のパート3はオケのコンサートのアンコールのようなものだ」と言えばいいでしょうか。すなわち、「芸術的には余分なものを与えられて得をした気分になる人たちのために専ら興行的理由によって作られるもの」ということです。
そこまでこの映画を酷評するのはちょっと気の毒かもしれません。ドラマの中の時間( . . . 本文を読む
塚本晋也監督の映画で最近のものを見ようと思ってレンタルしました。「鉄男」よりも10倍わかりやすいですが、おもしろさは半分もないように思いました。20年近い年月を隔てても汚いアパートや金属音、ぐらぐらするカメラワーク、一瞬だけインサートされる気味の悪い映像といった点は変わりません。悪夢探偵に松田龍平、刑事にhitomiという配役からしてエンタメよりに作られていますが、魅力を感じるところが同じなのは監 . . . 本文を読む
オードリー・ヘプバーンとフレッド・アステアによる唄って踊ってのミュージカルにグラビア的要素を付け加えたような感じの映画です。アステアはこの映画の撮影時には58歳なのに見事な踊りと優雅な仕草で老いは(顔の皺以外は)全く感じさせませんし、28歳のヘプバーンにいきなりキスしちゃいます。最後はテーマパークのお城の庭のようなところでラヴシーンを繰り広げるし。
ヘプバーンもダンスはうまいんですが、バレエ . . . 本文を読む
パート1よりもパート2の方がいいと言われる数少ない作品の一つで、この映画の成功をきっかけに続編にパート2とつけるのが流行ったようです。でも、単に正編が売れたから柳の下のドジョウのように作られたものと違い、この作品ではパート1の前後の時間を描くことで、見る人に重層的な形でファミリーの歴史を浮かび上がらせることに成功しています。
主人公のマイケルが上院委員会で査問を受けた場面で、マフィアの「フ . . . 本文を読む
ビル・ワイルダー監督でジャック・レモンが出演する作品の3つめです。この映画がいちばん有名で、マリリン・モンローの唄う「I wanna Be Loved by You」は誰しも聞いたことがあるでしょう。コメディ映画の傑作中の傑作とされていて、名場面、名セリフが次から次へと出て来ます。文句のつけようがないと言いたいところですが、「アパートの鍵貸します」に参ってしまっている私としてはそうでもありません . . . 本文を読む
最初からゲームっぽい映画だなと思いました。残虐な場面、意外な犯人、トリッキーな展開などなど、カルトっぽいエンタメといえばいいのか、人気を得られる要素がてんこ盛りです。気持ち悪さと生理的な嫌悪感をたっぷり味合うことができて、シリーズ化されたのもむべなるかなって感じです。
ゲームっぽさは、密室になった汚いバスルームに足を鎖でつながれた男が二人、手が届かない真ん中に死体、刻々と迫るタイムリミットとい . . . 本文を読む
この映画は第2次大戦において、フランスの植民地だったアルジェリアやモロッコなどの「現地人INDIGENES」が祖国の解放のために戦いに参加させられながら、人種や宗教の違いから種々の差別を受けたという話です。「INDIGENES」がオリジナルのタイトルですが、「そういう言い方をしちゃいかん」というセリフがフランス人上官同士で交わされるので差別的ニュアンスがあるんでしょう。とは言え、「ムスリムという言 . . . 本文を読む
この作品の見どころは、イサオ(阿部寛)がちゃぶ台をひっくり返したり、折角幸江(中谷美紀)が働いて稼いだおカネを奪ってパチンコですってしまうというヒモぶりとそれをあきらめているような幸江の反応でしょう。
そんなどうしようもない男とは別れた方がいいと思うのがふつうですが、幸江は別れません。たぶん絶対に。バイト先の店主(遠藤憲一)や隣室のおばちゃん(カルーセル麻紀)は幸江の身の上に同情したり、イサオの . . . 本文を読む