夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

今日聴いた音楽~クロムフォルツ:ハープのためのソナタほか

2005-09-29 | music
○クルムフォルツ・ハープのためのソナタop.13&14:ハナ・ミュラロヴァー  クルムフォルツ(1742-90)はボヘミア生まれの作曲家で、ハープのための作品を多く書いていますが、ハープ奏者であった妻が駆け落ちしたのを悲観して、最期はセーヌ川に身を投げたそうです。この作品13と14は1788年にパリで出版されたものですが、有名なモーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲」が1778年の作品で . . . 本文を読む

ジャパン・レクイエム:Requiem Japonica(36)

2005-09-27 | tale
 そんなふうに三姉妹の確執を歯牙にも掛けずに、彼はレクイエムのことを考えていた。正月の決心や童に期待されていることが関係したのかしないのか、いずれにしても『怒りの日』の残りの部分に手を付けることにした。第12節から第16節までを三管編成ながら渋めのオーケストレーションで、バスとソプラノの二重唱とし、第13節をこの部分の頂点としてリフレインさせた。第17節以降はうって変わって、地鳴りのような低音 . . . 本文を読む

シャガール:天使に抱かれたヤコブの戦い

2005-09-26 | art
 南仏のニースにはシャガール美術館があって、大作がたくさん収蔵されています。シャガールの色彩は実物で見ると本当に美しく、うっとりとながめてしまいますが、中でも青が私は好きです。そこの小さなコンサートホールにはステンドグラスがあって、何か水族館の魚のような気分になります。このブログの第1回の画像に使っています。  この絵はその感じにいちばん近いものです。シャガールには聖書に素材を取ったものが多い . . . 本文を読む

私のバッハ体験~パルティータほか

2005-09-25 | music
 先日の物語「ジャパン・レクイエム」の第34回にバッハについて登場人物にいろいろ語らせていますので、若干コメントしておきたいと思います。  まずバッハが5曲の受難曲を書いたということですが、これは息子のC.P.E.バッハらによる「個人略伝」によるものです。現存するのはマタイとヨハネの2曲ですが、マルコも作曲されたことは間違いなく、あとで触れる使い回し(パロディ)をたどって行けばかなり復元できる . . . 本文を読む

ジャパン・レクイエム:Requiem Japonica(35)

2005-09-24 | tale
 秋の鳥海菫の結婚式にも同じようなことが繰り返されるものと思っていたら、好事魔多しというか、再び三姉妹間で紛争が勃発してしまった。前年2月の中国のヴェトナムへの『懲罰』という名の侵攻、同じく9月のイラン・イラク戦争、12月のソ連のアフガニスタンへの侵攻等々、この頃世界各地で起こった軍事紛争が彼女たちに影響したとは考えにくいが、直接のきっかけに絞って挙げてみれば輪子の不用意な発言だったということに . . . 本文を読む

今日聴いた音楽~シューベルト交響曲全集その他

2005-09-23 | music
○バッハ平均律クラヴィア曲集:スヴャトスラフ・リヒテル  この曲は常備薬のような感じで、HDDプレイヤーにずっと入れてあって、時々聴いているものです。元のCD自体もいちばん古くから持っているものの一つです。内容的なことを言い出すとキリがないので今はやめておきますが、教会で録音したのか、途中から鳥の鳴き声がかすかに聞えるのがアッシジの聖フランチェスコのエピソードをいつも思い出させてくれます。 ○ . . . 本文を読む

ウィーンで観た絵画~クリムト「白樺のある農家」

2005-09-22 | art
 この絵は美術史美術館ではなく、オーストリア・ギャラリーの所蔵です。クリムトの作品はこことベルヴェデーレ宮殿、何よりベートーヴェン・フリーズなどセゼッション(分離派美術館)にあって、要はハプスブルク家の持ち物になる前に王朝が崩壊してしまったんでしょう。  1900年のこの作品は、ふつうよく知られているクリムトの絢爛豪華にして、頽廃的なイメージとは全く違っています。まず目に付くのは目線の低さです . . . 本文を読む

東ゆみこ「猫はなぜ絞首台に登ったか」

2005-09-21 | review
 題名がおもしろいのと口絵に画像で掲げたホガースの「残酷の四段階:その第1」やブリューゲルの「カーニヴァルと四旬節の争い」などがあったので読んでみました。新書版なのでさあっと読めますが、内容を簡単に紹介すると、18世紀のヨーロッパで多く見られた動物虐待や動物を被告にした裁判がなぜ行われたか、その原因を探っていくという謎解き仕立てです。その過程で、発情期の猫の鳴き声のせいで不眠に陥った下層労働者が . . . 本文を読む

ジャパン・レクイエム:Requiem Japonica(34)

2005-09-20 | tale
 さて、上川一族全体に視野を広げてみると、79年から80年にかけて結婚ラッシュに見舞われていた。本家の上川裕美子と片山暁子が昨年、79年の秋、片山葉子と鳥海菫が今年の春と秋といった具合であった。ことのついでに触れておくと、本家の長男、晃は昔で言えば保が興した上川家の三代目のはずだが、ご多分にもれず、身代をつぶしかねないような人物だった。祖父の保に憧れていて、おれも親や家に頼らずにでかいことをや . . . 本文を読む

私のバッハ体験~ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調BWV1042

2005-09-19 | music
 私事にわたりますが、と言ってもこのブログは私事ばかりですけどw、娘がこの曲の第1楽章をこの2月のヴァイオリンの発表会で弾きました。何曲か候補があった中で私がいちばん好きな曲だったので、まあ無理やり決めたような感じでした。だって、その前の曲が何ともインスピレーションのない曲で、それを毎日、下手な演奏で聴かされるのはもう拷問のようなものでしたから。この曲も最初はどうしようもなくて、メロディを変な裏 . . . 本文を読む

歌物語~藤袴

2005-09-18 | tale
 赤い光が明滅するような夢を見たような気がするけれど、「藤原君はどう?」って言われて目が覚めた。にやにや笑っている新任の課長の視線を無視して、まず質問を一つ。やっぱりそこまでしか考えていなかったのねと確認させてくれる答が一つ。座りなおして、2つまですぐに思い浮かんだから、「問題点が3つあります」と言って短すぎず、長すぎもしないように考えながら、撃破していく。  しゃべっているうちに3つ目どころか . . . 本文を読む

今日聴いた音楽:グルック「ドン・ジュアン」その他

2005-09-15 | music
○クープラン諸国の人々、コレルリ賛:パイヤール指揮、パイヤール室内管弦楽団  「諸国の人々」は、フランス人、スペイン人、神聖ローマ帝国人、ピエモンテ人の4部からなるもので、それぞれがソナード(ソナタのフランス語化したもの)とアルマンド、クーラント、ジーグといった舞曲からなります。音楽の万博みたいなものかなって思ったんですけど、民族色みたいなものは感じられません。パイヤールの演奏って、どうも私に . . . 本文を読む

レクイエム・ノート~オフェルトリウム

2005-09-14 | music
 「オフェルトリウム」(奉献唱)が典礼の中で占める重要性やその内容については、物語でかなり触れましたし、「深き淵より」との関係についても既に紹介したとおりです。構成についてだけ繰り返すと、前半(3+3)と後半(2+2)からなっていて、その要が6行目のアブラハムとその子孫(つまりユダヤ民族)への神の約束(promisisti)であり、そのことへの捧げ物(いけにえと祈り)というわけで、まあ、神社に鯛 . . . 本文を読む

ジャパン・レクイエム:Requiem Japonica(32)

2005-09-13 | tale
 明けて1979年、1月16日のイランのパファレヴィ国王の亡命、翌日の石油メジャーの対日原油削減の通告、2月11日のイラン革命政権の樹立などいわゆる第2次オイルショックとイラン革命の進行を我らの主人公は、「いいぞ、いいぞ、もっとやれ」と大はしゃぎでテレビにかじりついていた。  3月に入って原油供給逼迫の動きがいよいよ明らかになってくると、欽二に電話した。 「おい、好機到来だ。時木さんに面会の約 . . . 本文を読む

歌物語~白露

2005-09-12 | tale
 最近、和歌にちょっと凝ってまして、たくさん読むわけではないんですが、いくつか気に入ったものからいろいろ場面を想像したりします。伊勢物語や和泉式部日記、源氏物語などなど平安時代の物語の多くには、和歌が出てきます。物語と和歌の関係は様々ですが、そういうのを私も書いてみようかなと思いました。というのは後からつけた説明で、長い物語を書き直しながらブログに載せていると、短いのも書いてみたくなって、そのと . . . 本文を読む