夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

悪口バトン

2005-11-30 | diary
 いろんなバトンがいまだに回ってるみたいですね。ミュージックとかブックとかに始まって、最近のは女性のプライヴェートなことを聴き出すようなのが多いみたいです。私も受け取ったり、回したりしましたから、言えた義理じゃありませんが、まあみなさんお好きですね。ブログに書くネタに詰まっているっていうニーズもあるんでしょうけど。  それで、性格の悪さを自他ともに認める私が考えたのが悪口バトンです。もちろん . . . 本文を読む

ジャパン・レクイエム:Requiem Japonica(53)

2005-11-28 | tale
 旅から戻ると、宇八はその足で病院に行った。かねてから決めていた大学病院であった。無駄な時間や手間を掛けたくなかったからだった。しかし、自覚症状を何人も違った医師に説明し、脊髄に針を刺すような苦痛を伴うものを含め多くの検査に付き合わなくてはならなかった。その間は駅前のカプセルホテルに泊まっていた。5日ほどして入院が命ぜられ、決まったわけではないがと、しつこく念を押されながら診断名が初老の医師から . . . 本文を読む

ジャパン・レクイエム:Requiem Japonica(52)

2005-11-25 | tale
 新幹線に乗って東京に向かった。東京が目的地というわけではなかったが、10年前の放浪、栄子からすれば行方不明の出発点が東京だったので、そこからまた始めてみようと思ったのだった。輪子や月子に連絡する気はなかった。根津のビジネス・ホテルに一泊して、上野から中距離電車を乗り継いで行く。東北新幹線は大宮から開業していたが、上越新幹線はまだできていなかったので、新潟の方へ向かう列車のダイヤにあまり変化はな . . . 本文を読む

7つの秋の詩

2005-11-24 | poetry
 別のところで、お題をいただいて詩を書いています。9月の初めからスタートして、30を超える詩を書いてきましたが、秋も終わろうとしているので、それに関係した7つを掲載します。女性からの依頼ばかりですから、そういう内容が多くなっています。  権威づけをするつもりもありませんが、古今集以降の和歌は題詠が多いですし、恋の歌においては男性が詠む場合でも女性一人称と解すべきものが少なくありません。まあ、そ . . . 本文を読む

ゴッホ:自画像

2005-11-22 | art
 これは本当にこわい絵です。エゴン・シーレの「死と乙女」やムンクの「叫び」、ベックリンの「死の島」といった絵もそれぞれに心の深いところに突き刺さるようなこわさを持っていますが、実際に見た衝撃力ではこの絵には及びません。また、ゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」やブリューゲルの「幼児虐殺」、ボッシュの「十字架を担うキリスト」といった人間性の暗い部分をあばいたような普遍的なこわさはないのかもしれませ . . . 本文を読む

ジャパン・レクイエム:Requiem Japonica(51)

2005-11-21 | tale
 9月15日当日は、暑さは残るものの良い天気だった。アパートの近くの集会所を借りて、白いテーブルクロスを掛けた会議机の上に骨箱と写真を置いて祭壇ふうにし、ちょっとした酒とつまみを出した。宇八は特にあいさつするわけでもなく、ビールを片手に、「じゃ、始めましょうか」と言って、グラスをちょっと差し上げただけだった。教会でもなく、僧侶を呼ぶわけでもなく、儀式性というものを欠いているから、達子と光子が密か . . . 本文を読む

今日聴いた音楽:アイヴズ・アメリカンジャーニーほか

2005-11-19 | music
○シマノフスキ弦楽四重奏曲第1番&第2番、ヴェーベルン弦楽四重奏のための緩徐楽章:カルミナ四重奏団  シマノフスキについてこれといった印象がなかったんですが、この弦楽四重奏曲ではなかなか鋭い表現が聴くことができて、彼も20世紀の作曲家なんだなっていう当たり前の感想を抱きました。 ○アイヴズ作品集・アメリカンジャーニー:マイケル・ティルソン・トーマス、サンフランシスコ交響楽団  アイヴズについて . . . 本文を読む

ジャパン・レクイエム:Requiem Japonica(50)

2005-11-18 | tale
 10 生者のためのレクイエム~LIBERA ME  8月17日に栄子が死んで、翌日が通夜(カトリックでは本来行わないものであるが、日本の風習に従い、前夜祭と称して行われている)、その次の日が教会での葬式と手際よく決まっていった。真夏の不幸である。勢ぞろいした栄子の兄妹たちは大汗をかいていた。達子や光子などはもうとっくに夏の喪服を用意していた。甥や姪の中でも比較的都合のつきやすい、稔、攻 . . . 本文を読む

ジャン・コクトォ、知られざる男の自画像

2005-11-17 | art
 これはジャン・コクトォへのインタヴューと彼自身の作った映画のコラージュのようなDVDです。インタヴューでは、ラディゲ、ストラヴィンスキー、ピカソ、サティ、ディアギレフ、ニジンスキー、ココ・シャネル、サラ・ベルナールといった20世紀初頭のパリに集った天才、才人たちとの交流が生き生きと語られています。いい感じに年齢を重ねたコクトォが自分を押し出すのではなく、ストラヴィンスキーとピカソを自分の師だと . . . 本文を読む

ジャパン・レクイエム:Requiem Japonica(49)

2005-11-14 | tale
 8月の旧盆前から、ついに栄子の最期の時が近づいてきた。塗油の秘跡が例の日本人神父を呼んで行われた。信者として死を迎える以上、好悪を言うわけにもいかないのだ。集中治療室に移され、いよいよ今夜かという夜が何回となくあった。そのたびに医師や看護婦がざわざわと現われ、治療が行われ、持ち直す。 「もう、楽にしてあげて」という光子の声は家族、親族全員の気持ちを代弁していた。栄子の意識は混濁していたが、時 . . . 本文を読む

今日聴いた音楽・番外編~SACDvsCDチャイコ対決

2005-11-13 | music
 知人の家に行って、タンノイの1本100万円のスピーカーに自作の真空管アンプの音を聴かせてもらったついでに、初めてSACDの音を聴きました。クラシックファンのくせに相当時代遅れなのかもしれません。それで、同じ曲で比較してみようと思って探してもらったら、チャイコフスキーの第5シンフォニーがありました。SACDは小林研一郎+チェコ・フィルで99年の録音、CDはオーマンディ+フィラデルフィア・オケで7 . . . 本文を読む

ジャパン・レクイエム:Requiem Japonica(48)

2005-11-11 | tale
 7月になってまた見舞い客が増えてきた。もういよいよ危ないということが口コミで伝わるのだろう。達子、光子、欽二らに加え、正一や昭三も妻を伴って顔を見せた。甥や姪も何人か来た。 「みんな待ちくたびれているみたいね」と栄子はかすれた声で、耳を寄せた達子に言った。達子は返事もできず、笑うとも泣くともつかない顔をしていた。  その月の終わりには、長崎大水害を初めとする集中豪雨が各地で猛威をふるった。そ . . . 本文を読む

aikoのマイ・ベストアルバム

2005-11-10 | music
 6月にケータイを変えたときに着メロをどうしようかと思って、いろいろネットを検索したらCDから作る方法が見つかって、やってみました。  それで、自己PRにも書いてますが、大好きなaikoのアルバムからケータイにDLしました。それが次の11曲です。 花風:最新アルバムではいちばんポップな曲ですね 三国駅:彼女が通ってた某音大の最寄り駅です。しみじみ~ ナキ・ムシ:今よりも声が若くて、ハイト . . . 本文を読む

絵画と音楽のリンク~モネとモーツァルト

2005-11-08 | art
 モネの「散歩、パラソルをさす女」は、ああ、こういう光景を見たことがあるなって感じにさせる絵です。パリ郊外か田舎か、いずれにしても日本の風景ではないし、パラソルをさした女性の目鼻立ちは逆光ながらも当たり前ですが、日本人とは違います。それでもデジャヴュのようなものを覚えるのは、風と草いきれを濃厚に感じさせて、時間の敷居が曖昧になる夏を描いているからでしょうか。それともパラソルが太陽を隠し、冷ややか . . . 本文を読む