このシリーズは1曲かCD1枚にだいたい絞って書いてきたんですが、実際には通勤の行き帰りに2枚分くらいはヘッドフォンステレオで聴いていますから、触れられない曲が多いですし、じゃあどれを書くのかって考えると変に構えちゃって、感動した曲を更に調べたりしなきゃいけないなって思って(あくまで思うだけですがw)、ますます気が重くなります。
それじゃあ“intermezzo”としている意味もないので、これからは週に1回くらいの頻度で聴いた曲をまとめて、いいも悪いもすべて棚卸しちゃうことにしました。私はレコ芸の評者でもアニマル浜口でもないので、いちいち気合入れて聴いてませんから、評価になってないものや悪口も当然出てきますし、ますます無知をさらけ出すようなことになりますが、その点は存分にコメントand/orTBください。
タイトルも「今日までに聴いた」の方が正確ですが、日曜日のFMで山下達郎がやっている“サンデー・ソングブック”の「棚からひとつかみ」とおんなじような意味だということでw。
○ オイストラフの思い出
“Memory of Oistrakh”という2枚組みのアルバムで、オイストラフ追悼記念というものなんでしょう。1枚目はリヒテルが中心でハイドンのピアノソナタ第39番ニ長調と、カガンのヴァイオリンと合わせたブラームスのヴァイオリンソナタ第1番ト長調、ショスタコーヴィッチのヴァイオリンソナタ作品134(オイストラフに献呈されたもの)です。ブラームスは私が大好きな「雨の歌」ですが、ちょっとカガンの歌わせ方が弱いですね。
2枚目は、バシュメットのヴィオラが中心で、ヒンデミット(作品11)とショスタコーヴィッチ(作品147)のヴィオラソナタその他です。20世紀最大の作曲家と考えているショスタコーヴィッチの最晩年の弦楽器とピアノのソナタをまとめて聴くことができますし、尊敬するリヒテルによるものですから絶賛しなくては申し訳ないような気がしますが、あんまり心には残りませんでした。恐怖がはいずりまわるような感じはよくわかるんですが……また、勉強して出直してまいります。
○ アラウ最後の録音“ドビュッシー”
91年のアラウの“Final Session”のうちの1枚です。ベルガマスク組曲、月の光、ピアノのために、レントより遅く、ロマンティックなワルツその他です。アラウって私がクラシックを聴き始めた頃は巨匠として有名だったんですが、あんまり馴染めなかった人でした。今度聴いてみてわりといい感じで聴けました。
○ トランペット協奏曲集
モーリス・アンドレのトランペットによるハイドン、レオポルド・モーツァルト、ネポムクの協奏曲です。超絶技巧って言っていいんでしょうね。あんまりするするっときれいに吹くし、だんだん内容のない曲(その定義は簡単じゃないですが、まあコクがないってことで)になるので、もういいやって気になっちゃいます。
○ レハール・ワルツ集
ボスコフスキーによるレハールのオペレッタの中からワルツを抜粋したもので、古きよきウィーンの楽しさいっぱいのアルバムってところでしょう。曲目は、金と銀、メリー・ウィドウ、ひばりが歌うところその他です。こうやってまとめて聴くと飽きますね。いちばん好きなメリーウィドウ・ワルツもオペレッタの中で出てくるからしみじみしていいような気がします。
○ リャプノフ:交響曲第1番その他
スヴェトラーノフ指揮、ソ連交響楽団によるもので、リャプノフの作品の他にバラキレフの“Islamey, Oriental Fantasia”も収録されています。最近は19世紀のオーケストラ曲、と言うことはオケのメイン・レパートリーってことですが、なんかおもしろみを感じないんです。好みに波があるたちなんですが、あの手、この手されればされるほどつまんないことしてるなって気がしてしまって。すみません。
○ サンサーンス:ピアノ協奏曲第4番その他
カサドシュの2枚組みアルバムで1枚目はバーンスタイン、ニューヨーク・フィルと合わせたサンサーンスとフォーレの「ピアノと管弦楽のためのバラード」その他です。私はサンサーンスって全然評価してないし、そういうことを前に書いたような気もしますが、このコンチェルトは感心しました。ピアノもオケもよく鳴って気持ちよく引きずり回してくれます。
2枚目はフランクの「交響的変奏曲」、ダンディの「フランスの山人の歌による交響曲」、ラヴェルの「左手のための協奏曲」ですが、こっちはさっぱりピンときませんでした。たぶんコンサートで聴くべき曲で、ヘッドフォンステレオの中に閉じ込めちゃいけないんでしょう。
○ リスト:ダンテ交響曲
Lehelっていう人の指揮、ブダペスト交響楽団の演奏です。もうちょっと気合入れて聴かないと何とも言えないです。
○ シューマン:ピアノ五重奏曲、四重奏曲
Presslerっていう人のピアノとエマーソン弦楽四重奏団によるものです。この曲やブラームスを始めとして、ロマン派は弦楽四重奏曲なんかよりピアノが混じった曲に優れたものが多いですね。ベートーヴェンが重石になったということもあるんでしょうけど、掛け合いのような遊びの要素が横に流れる彼らの発想に合ってたんでしょうか。
○ シベリウス:ピアノ作品集
田部京子のピアノによる「5つのロマンティックな小品」、白樺とか樅といった木の名前の入った「5つの小品」、ひな菊やカーネーションといった花の名前の入った「5つの小品」などなどです。かわいい小品がさらさらと流れていくのでした。