テルミンとJAZZ
テルミンやマトリョミンの話。私、こちろうこと相田康一郎のプロフィールは左メニューバーのCATEGORYを。
 



 ロシアでのコンサートやテルミンさんゆかりの地への訪問は、強く心に残るものであった。特に強く感動したのは、サンクトペテルブルグ工業大学のなんの変哲もない、ある部屋に足を踏み入れたときであった。そこは1920年、テルミンさんが楽器テルミンを発明した部屋であった。彼がそのときその楽器を発明していなければ、私がテルミンを楽しむことはなかった。また、私がロシアの地を訪ねることもなかったことを思うと、何か、テルミンさんやテルミンという楽器に導かれてここに来た、そしてテルミンを楽しむ私が今ここにある、という感慨に包まれたのである。
 思えば、楽器の演奏者がその楽器の発明者のことを強く意識するということ自体、すごく稀なことであろうと思う。世界最古という枕詞がつくものの、たかだか80数年前に発明され、約10年前までは発明者も存命だったのである。少しだけ古いけど新しい楽器。バイオリンなどの歴史に比べれば、まだ楽器テルミンの歴史は始まったばかり。竹内先生がお考えのように「テルミンが普及する環境が今まさに整ってきた」のかもしれない。そういう時代に身をおけて幸せである。早すぎず、遅すぎず、何事にもタイミングは重要である。

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