他の楽器で、完璧な直立不動での演奏を要求するものはない(と思う)。初心者には「まっすぐ立って」と指示される楽器であっても、音楽と自らの表現欲求に合わせて、自然と体が動くものだと思う(たとえば、フルートなどの管楽器やバイオリンを立って演奏しているときを思い浮かべる)。
テルミンは興が乗ってきて、体を動かそうものなら、音程が狂い、感情表現どころではなくなる。そこで、音量を盛り上げるときなどに、ボリュームコントロールしている右肩を「くーっ」とまさに盛り上げる程度が関の山。後は、ほんのちょっと顔をふるくらいか。
直立不動というのは緊張の姿勢である。だから、緊張して無くてもそのカタチが緊張を呼び込んでしまう、ということもありそう。その点では、右足も含めて、いくらか大きなポジション異動を行うリディアさんや、腕全体をダイナミックに動かすことも多いやの雪さんの奏法の方が、不用な緊張を防ぐ効果もあるかもしれない。
あと、緊張すると、もしくは一点に集中すると、人間のカラダは徐々に前のめりになっていく傾向がある。以前よくヘタなゴルフをやっていたが、ボールに集中すればするほど、どんどん前のめりになってミスショットということがよくあった。簡単そうに思える止まっているボールを打つことが、飛んでくるボールを打つこと以上に難しい面があるのは、テルミン演奏に相通じるものを感じる。
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