恐れていたことが起きた。
浦安側が「アサリの剥き身の佃煮を串で通したやつ」を旧江戸川に浮かぶ小島・妙見島に打ち込んできた。きっと、葛西の人々はご飯が進んでしまうことであろう。
葛西側もこの攻撃に対し、小松菜の種を打ち返した。うまく育ててやれば、その小松菜で浦安の人々は、お正月のお雑煮がさぞかし引き立つであろう。
火種はあった。浦安側の東京を名乗る夢と冒険とファンタジーを売り物にする、夢の国では日夜大規模な軍事演習がなされていたからだ。ネズミの恰好をした、水兵が、水鉄砲で無差別に模擬射撃をした。その水が直撃したのは、葛西から観光に訪れた民間人だったのだ。そして夜は夜で、派手な実弾を夜空に向けて打ち上げているのだ。それは監視塔ともいわれるタワーホールの展望台からも確認できる。
火種はまだまだある。11月17日にはそのタワーホール船堀で、「北」の35周年を祝う式典が行われ、その式典会場に区長も出席し祝ったということ。しかも、その式典では「北」の次期後継者を称える寸劇(マスゲーム)も行われたともいう。
そんなこともあって両者フラストレーションがつのっての衝突となったのであろう。
だがこれにより、戦争状態にはならないだろうというのが外交筋の見方だ。
それは交通環境にある。東西線がもし不通になれば、葛西側はいい。バスで10分も乗れば一之江駅まで行って、新宿線に乗れば同盟関係にある市川へ渡れる。しかし浦安側は京葉線も葛西を通過するので、京葉線も不通になれば東京側へ行くには相当の遠回りを強いられる。しかも、鉄道といえば、夢と冒険とファンタジーの国の間を結ぶモノレールか暴走機関車か、西部の川のほとりを走る蒸気機関車とか、ごく一部の地域を結ぶ特殊な鉄道しかないからだ。
軍事力では優位に立つ浦安。交通の面でちょこっと優位に立つ葛西。この微妙なパワーバランスによって両者は成り立っているのだ。
つねさんぽのワシントンレポートより