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上野動物公園のパンダに双子が生まれました。
つらくしんどいニュースが続く今の世の中で久しぶりに聞く明るい知らせです。
さて、新しく命を授かった双子のパンダのあかちゃんですが、だれのものになるのでしょうか。すこし解説したいと思います。
一般的に動物は、物と同様所有権という法的権利の下に所有・収益・処分がなされます。
生き物なのに所有権というのはなんだか冷たい印象を持ちます。
しかし、私法は人か物かの二分立でこの世を区分しています。
そして、人という概念に動物どいうヒトとは違う種を含むようには考えていないので、動物が物の扱いになってしまうのです。
もちろん動物は、石とか金属と異なり、命を持つ尊い存在であるので、一般的な私法の中でもこれらと区別して特別法により厚く保護する方向で法体系が構築されています。
例えば動物を不必要に虐待して殺した場合には動物虐待法により懲罰を受けます。
このように特別に保護する特別法がありながらも、人間の所有権に帰属する存在であるわけです。
では、一般法である民法の規定に基づいて、新しく生まれたパンダの所有権の帰属を考えてみます。
そもそも上野動物園にいるパンダの夫婦は、中華人民共和国が日本国へ賃貸借契約に基づき日本に貸し出している動物です。中国は賃貸人、日本は賃借人となるわけですね。
そうすると、賃借人である日本には、パンダの夫婦の所有権を主張はできません。
では、パンダの赤ちゃんの所有権は誰に帰属するのでしょうか。
双子のあかちゃんパンダが妊娠したのも生まれたのが日本で、分娩や出生直後の手間を払ったのは日本ですから、パンダの親と異なり日本に所有権が帰属しそうです。
しかし、民法の規定では、借りた物から生まれたもの(果実といいます)の帰属も、借りたものの所有権の帰属先にあるとしています。今回は親パンダの所有権が中国にある以上、生まれた子供のパンダの所有権も中国に帰属することになります。
この民法上の果実という概念には、自然果実と法定果実の二通りがあります。前者の自然果実は、文字通り自然界に存在するものが生じた場合に使います。たとえば、人様から借りた馬が仔馬を産んだら、その仔馬は自然果実とみなされるわけです。一方法定果実は法律上の権利を指します。具体的には、大家さんから借りたアパートをさらに人に貸し出した(転借した)場合の転借賃料がこの法定果実にあたります。
もっとも民法でこのように規定していたとしても、賃貸借契約のなかで果実の帰属について契約する当事者で民法とは異なる内容の条項を盛り込んでおれば、その条項に従って所有権の帰属が決まります。つまり、一般法である民法は個別の契約内容によって排除できるわけです。
従いまして、生まれたあかちゃんパンダの所有権について、ほぼ間違いなく日中間でのパンダ賃貸借契約の書類で民法を排除する規定が盛り込まれているかと思います。
ただ、残念ながら私はこの契約書に目を通していないので、実際のところの双子のパンダが誰のものになるかは、わかりません。
ただ、他の動物園で生まれたパンダについて、中国政府に返還しているなどをきいたことがあるので、おそらく上野動物園で飼育されているお父さんパンダとお母さんパンダについても前例と同様もし二頭の間に子が生まれたら、その所有権は中国側にあるとしているのでしょうね。
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