大阪の女児が行方不明になった事件。解決へと事態が急展開しました。
https://mainichi.jp/articles/20191124/ddm/041/040/089000c
栃木県警に監禁罪で緊急逮捕された犯人は、今後、未成年略取誘拐罪でも起訴されるかと思います。
今回の記事は、この未成年略取誘拐罪について少し書いてみます。
未成年略取誘拐罪というと、大人が未成年の子供を無理やり引き連れたり、または、ウソでだまして誘拐するのが典型例として脳裏に浮かぶのではないでしょうか。
ここで暴力や脅迫という手段で未成年の子の意思に反して連れ去ったりだまして連れ去るのは当然にこの犯罪が成立するのですが、略取・誘拐された未成年の子が自らの意思で誘拐犯人が支配する場所(例えば今回の事件のように犯人の閉鎖されている自宅・空間など)に出かけた場合、果たしてこの犯罪が成立するのでしょうか。
結論から申しますと、未成年の子の監護権者の意思に反したのであれば、未成年略取誘拐罪が成立します。
少々遠回りの説明となりますが、刑法の規定についてまず説明します。
刑法は、一般法・特別法を問わず各罰条条文に必ず保護法益があります。例えば窃盗罪であれば、保護法益は、盗まれた物(有体物)を占有する者の意思が保護法益です。もし占有者が納得して占有するものを人に渡したのであれば、それは意思に反しない贈与という法律行為であって刑法に触れることはありません(詐欺などが成立する余地はありますが)。
他方、占有者の意思に反して占有という事実状態を侵害すれば、占有者の意思に反しているわけですから、窃盗罪が成立します。
このように罰条には必ず保護法益を想定していますが、今回の事件で適用されると思われる未成年略取誘拐罪の保護法益には、略取誘拐された未成年の子だけでなく、その子の監護権者の意思も含んでいます。
従いまして、たとえ未成年の子が納得して犯人が支配する場所・空間に出向いたとしても監護権者がその移動などに同意していなければ、この場合には未成年略取誘拐罪が成立します。
この保護法益に関する情報は、世間に広く知られるべきではないでしょうか。
もちろん、未成年の女児などを略取誘拐し、身代金を要求したり性的ないたずらをしたり風俗産業で強制労働させるなどの行為は道徳に反する犯罪行為であって、この未成年略取誘拐罪が成立することに疑念を挟む余地はありません。
しかし、他方で、家庭に何らかの事情をかかえ、そこから逃げ出そうとする未成年の子に、家出先の居場所を提供する行為も、この犯罪が成立する余地がでてきます。
つまり、いわゆる善意で救いの手を伸ばした結果、犯罪者として逮捕起訴される恐れがあるのです。
善意の手の持ち主が犯罪者として捜査機関の捜査対象となってしまう。
このような悲しい事態を避けるためにも、未成年略取誘拐罪の保護法益には未成年の子の意思だけでなく、子の監護権者の意思も含まれるため、安易に未成年の子に寝泊まりする部屋や空間を提供するのは絶対にやめましょう。
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