Aonsiwate Blog

フライロッド・漆器製作と岩手のくらし覚書

漆の精製

2014-10-23 21:35:40 | 漆と漆器

  

  

  漆掻き職人が採集した漆ですが、

  採集時に入り込んだ塵や木屑があるため、

  そのままでは使用できません。

  下の画像はそのままの状態。

  

Pa233257

  

  これを「精製」して使える状態にします。

  

Pa233228

  

  まずは、綿を漆の中にガンガン入れて、混ぜます。

  漆を吸った綿は非常に重くなるので、結構な力仕事です。

  

Pa233232

  

  綿を使うのは、漆の中の不純物を綿に絡み取らせるため。

  その後、遠心分離器にかけます。

  

Pa233248

  

 不純物は綿に絡め取られ、漆のみが抽出されます。

  

Pa233252

  

  この漆の状態が「生漆」。

  この状態でも様々な作業に使えますが、

  さらに「黒める」ことによって美しい発色の

  「素黒目漆(すぐろめうるし)」になります。

  

  「黒める」とは漆を撹拌しながら適当な加熱・送風をし、

  漆内部の水分量を調整することです。

  下画像のような器具を使います。

  

Pa233271

  

  記録を取りながら、慎重に進めます。

  

Pa233236

  

  気象などの条件にもよりますが、

  半日以上かかることもあります。

  15分おきに漆の状態を確認し、

  ベストな状態にもっていきます。

Pa233263

  

  普通に使える状態の漆も市販されていますが、

  自分たちの手で精製した漆は、使っていて安心感が

  違います。