漆掻き職人が採集した漆ですが、
採集時に入り込んだ塵や木屑があるため、
そのままでは使用できません。
下の画像はそのままの状態。
これを「精製」して使える状態にします。
まずは、綿を漆の中にガンガン入れて、混ぜます。
漆を吸った綿は非常に重くなるので、結構な力仕事です。
綿を使うのは、漆の中の不純物を綿に絡み取らせるため。
その後、遠心分離器にかけます。
不純物は綿に絡め取られ、漆のみが抽出されます。
この漆の状態が「生漆」。
この状態でも様々な作業に使えますが、
さらに「黒める」ことによって美しい発色の
「素黒目漆(すぐろめうるし)」になります。
「黒める」とは漆を撹拌しながら適当な加熱・送風をし、
漆内部の水分量を調整することです。
下画像のような器具を使います。
記録を取りながら、慎重に進めます。
気象などの条件にもよりますが、
半日以上かかることもあります。
15分おきに漆の状態を確認し、
ベストな状態にもっていきます。
普通に使える状態の漆も市販されていますが、
自分たちの手で精製した漆は、使っていて安心感が
違います。