漆を塗る際に使う「漆刷毛」。
人の髪の毛で作られています。
初めて聞いた時には、とても驚きました。
漆は粘度が高いため、腰がありながら、
(漆の)含みの多い髪はとても向いています。
持ち手の中全体に髪の毛が通っており、
鉛筆のように削り出して使えます。
縄文時代ごろから獣毛を使った刷毛は
存在していたようです。
現在の髪の刷毛は、江戸時代に「初代泉清吉」が
発案したのが始まりといわれています。
用途に応じて使い分けるため、種類は多くなります。
私の場合、釣竿を塗るために調整した刷毛が多いです。
現在、日本で漆刷毛を製作しているのは
「広重」ブランドの泉清吉氏と、
「田中」ブランドの田中信行氏の二人だけ・・
今とりかかっている釣竿を塗るための刷毛の製作を
開始しました。
刷毛は最初下画像のような形。
これを使用者が使いやすいよう、各々仕上げていきます。
左の「広重」は「三分の一通し」で全体の
三分の一だけ髪が通してあります。
釣竿のジョイント部分の飾り塗りに使います。
右の「泉清吉」は薄くち(髪の厚さが薄い)で、
毛先短めに仕立てて、
細身の釣竿本体の塗装に使います。
11月中に仕上げる予定。