生漆は、漆の木からかき取った漆を濾して
塵を取り除いた状態のもの。
水分量は約20パーセントで、
この水分量を調整して「素黒目漆」という
刷毛で塗るための漆が作られます。
生漆は空気に触れていない状態では乳白色ですが、
空気に触れているとココア色に変わります。
かき混ぜてやると(下画像)、もとの乳白色に戻ります。
この生漆の状態でも用途が沢山あります。
今回行ったのは木固め。
今回は木地の発色を黒い方向に持っていきたかったので、
生漆に「松煙」を混ぜて黒くし、
木地に浸透するようにテレピンで希釈。
刷毛でガンガン塗って、木地に吸い込むだけ
吸い込ませ、拭きとります。
こうして木地自体に耐水性を持たせます。
この作業が木固めです。
漆が硬化後、表面処理をして、もう一度木固めし、
その後摺漆の作業で表面を鍛えます。
今回のスプーンの素材は「ブナ」で、
加工しやすく、木目も美しいのですが、
木地の乾燥が不十分だったり、
漆の硬化が甘かったりすると、
狂いやすい・動きやすいという欠点があるような気がします。
今回の木地はカチッと乾燥した木地です。
今日行った木固めも、二週間は硬化時間にあてる予定です。