漆は素手で扱うことが難しいため、ヘラを使って作業します。
漆を出したり混ぜたり片付けたり、
錆(さび・・漆で作ったパテのようなもの)を作ったり盛ったり、
必ず毎日使います。あらゆる作業に使います。両手でも使います(二刀流)。
そのため、漆の修業の最初は、このヘラを作るための
カンナの扱いや切出刀を研ぐことだったりします。
ヘラですが、人によって、個性が出ます。
また用途によって「硬さ」「曲がり方」を変えますので、
漆塗りはかなりの本数を持っています。
そして、使うたびに摩耗する消耗品です。
下画像はヒノキの「坪板」。ヒノキを特殊な割り方で割っており、年輪の入り方が平行です。
ヒノキが一般的ですが、クスやイタヤカエデで作ったこともあります。
これをカット。
カンナで慎重に削っていきます。
ヒノキのとてもよい香りがします。
形ができたら、
切出刀で仕上げます。
今回は「全体的に硬いけれど先端は柔らかいヘラ」×2、
「全体的に柔らかいヘラ」×2に調整。
上の画像はヘラの断面。釣竿のようにテーパーがついています。
いつも思うのですが、このヘラのテーパーの感じは釣竿(特にフライロッド)にそっくり。
今回はミディアムファストアクションとスローアクションのロッドを作った気分です。