私の製作する漆塗竿ですが、文字を書いた上に漆を塗装して、
文字をブランク塗装の中に埋め込みます。
文字を書くために使うインクですが、油性・水性ともに書くことはできますが、
書いた上に漆塗装ができません。漆をはじく・いつまでも乾かない。
なので、この文字も漆で書込みます。
書込みにはペンを使います。文字色は朱を使うことが多いです。
ペンと漆は相性が悪い(漆の粘度が強い・粘度の変化が激しい)といわれ、
あまり使われないようです。
粘度を下げるために希釈する方法もありますが、朱漆の顔料の濃度も薄くなってしまうため、
発色が悪くなるようです。
私はいくつかの方法で漆を調整して粘度を下げ、ペン軸+ペン先で書き込んでいます。
調整しても書いている間中粘度が変化するので難しいです。長い文章は書き込めません。
もともと字が下手なので、何回も定盤(漆の塗装台)で練習してから書込みます。
練習で書いた文字はヘラで回収して次回濾して使います。
上画像は朱漆で文字を書いてその上に素黒目漆を塗り、研磨したもの。
塗った直後(漆が若い頃)は、朱漆の発色が悪く素黒目も透明ではありませんが、
漆が落ち着くと鮮やかに発色します。