Aonsiwate Blog

フライロッド・漆器製作と岩手のくらし覚書

漆とペン

2017-07-04 08:39:05 | 漆と漆器

私の製作する漆塗竿ですが、文字を書いた上に漆を塗装して、

文字をブランク塗装の中に埋め込みます。

文字を書くために使うインクですが、油性・水性ともに書くことはできますが、

書いた上に漆塗装ができません。漆をはじく・いつまでも乾かない。

なので、この文字も漆で書込みます。

 

 

書込みにはペンを使います。文字色は朱を使うことが多いです。

ペンと漆は相性が悪い(漆の粘度が強い・粘度の変化が激しい)といわれ、

あまり使われないようです。

粘度を下げるために希釈する方法もありますが、朱漆の顔料の濃度も薄くなってしまうため、

発色が悪くなるようです。

 

私はいくつかの方法で漆を調整して粘度を下げ、ペン軸+ペン先で書き込んでいます。

調整しても書いている間中粘度が変化するので難しいです。長い文章は書き込めません。

もともと字が下手なので、何回も定盤(漆の塗装台)で練習してから書込みます。

練習で書いた文字はヘラで回収して次回濾して使います。

 

 

上画像は朱漆で文字を書いてその上に素黒目漆を塗り、研磨したもの。

塗った直後(漆が若い頃)は、朱漆の発色が悪く素黒目も透明ではありませんが、

漆が落ち着くと鮮やかに発色します。