ほんわか亭日記

ダンスとエッセイが好きな主婦のおしゃべり横町です♪

「押し活」

2023-10-14 | エッセイ
2023年10月14日(土)

今日も、藤井聡太君のニュースをテレビやネットで追いかけて過ごした。
そこで、今日は、ちょっと前に書いたエッセイ、「押し活」を・・。
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「押し活」                                
 ゴールデンウィークの間、中学生になったゆ~ちゃんと小学四年生になったみ~ちゃんを
連れて、娘が泊りに来てくれた。
駅に近い我が家のマンションからは、映画館、プール、日帰り温泉、ボウリング場といった
遊び場に歩いて行けるので、孫たちは楽しみにしてやってくる。
今日は、映画館に行くそうで、昼食の後、その時間まで、居間のテーブルでは、
娘がスマホを使い、私は、パソコン、テレビの前のソファーでは、ゆ~ちゃんもスマホ、
み~ちゃんは、タブレットでゲームと、それぞれのんびり過ごしていた。
 ゆ~ちゃんが娘の側に来て、スマホを見せながら何か言い、娘に、
「それは、まだダメよ。」
と、言われ、プ~っと膨れてソファーに戻った。
なんでも、ゆ~ちゃんの「押し」が、東京でコンサートを開くので、行きたいのだそう。娘に、
「押しって?」
と、聞くと、「押し」というのは、こちらがファンになっているスターのことで、
私には聞きなれない言葉だが、今の子たちには、普通の言葉だそうで、
「押し」のグッズを買ったり、コンサートに行くことを、「押し活」と言うのだそうだ。
(ゆ~ちゃんちゃんに、「押し」がいるの! 誰、誰?)
と、言いたいのを堪えたが、
「コンサートって、何千人も集まって応援するんでしょ。危ないよ。」
と、おばあちゃんとしても、賛成しかねる。娘も、
「まだ中学生に、コンサートは早いよねえ。」
と、言う。私は、
(高校生になって、友達と押しのコンサートに行くのでも、心配だわ。)
とは、スマホをいじっているゆ~ちゃんには聞かせないよう、心の中に留めておいた。
 そういえば、昨日、みんなで近くのイオンの中の電器店に行ったとき、
エスカレーター前の広場で、アイドルらしい男性グループが歌ったり、踊ったりしていた。
エスカレーターに乗ると彼らの後ろ側にまわるので、上からよく見えたが、数十人ほどの
若い女性たちが、周りを囲んでペンライトを振っていて、
(結構、人気があるんだな。)
と、思ったのだった。
「あれくらいなら近いし、安全だしねえ。」
と、娘と話していると、ポテトチップスを取りに、み~ちゃんがテーブルに寄って来た。私が、
「み~ちゃんにも、押しっているの?」
と、聞くと、み~ちゃんは、
「私は、歌が好きなの! 誰が好きとかじゃ、ないの!」
と、きっぱりと言い切った。
(それは、失礼しました。おばあちゃんも、そうだったわ。)

 ビートルズ旋風が押し寄せて来たのは、私が中学生の頃だった。
学校の音楽とは全く違うリズムとパンチ。そして、少しの不良感。歌詞もよくは
分からないまま、二つ違いの弟とラジオやレコードからの歌を、家で体を揺らしながら
歌っていると、父や母が渋い顔をしたが、それもまた、刺激的だった。
だが、一度、友達と映画館に彼らの映画を見に行ったとき、、館内は、「リンゴ―!」
「ポール!」といった歓声に埋まった。
私は、肝心の彼らの歌声がよく聞き取れないことが、残念で残念で、向かっ腹をたてながら
帰ってきた。
今なら、私は、異性を好きになるという思春期の入り口で、スターに憧れるその人たちに、
一歩遅れをとっていたのでしょうと、思えるのだが……。

あれから数十年。み~ちゃんに、
「おばあちゃんにも、押しがいるんだよ。」
と、話しを続けると、み~ちゃんは、びっくりしたようだった。だが、
「将棋の藤井聡太君っていうの。」
と、説明しても、よく分からないようで、興味を持ってくれなかった。
 藤井聡太君がタイトル戦に登場するようになった三年ほど前から、ニュースでも
よく見かけるようになり、若くて、強くて、礼儀正しくて、おまけに可愛い。
テレビに映れば、よく見えるようにと、すぐ画面の前にとんでいき、さらに、ネットでも
追っかけをしている。私は、将棋は分からないが、
今は、ネットの対局画面にパーセンテージで優勢か劣勢かが表示されるので流れは分かり、
応援しやすい。
対局中のおやつの映像を楽しみ、白や水色の若々しい色の羽織が似合うと目を細めたりする。
こういうファンは、“観る将”と言って、新しいファン層なのだそうだ。
私は、私の押しが、天才として、勝ちまくり、未来へ突き進むとき、その風を感じて
清々しくなる。
そこに、京都に住んでいて、年に一度会えるかどうかという孫の雷ちゃんの姿を重ねてしまう。
そんな私の胸の内のあれこれは、この場では口にしないでおこう。 
 私は、こうやって画面越しに押し活を楽しめるが、ゆ~ちゃんは、コンサートに行って
押しのオーラに直接触れたいのだろう。
そこで思いついて、目の前の娘に、
「もう少し大きくなって、押しのコンサートが埼玉である時に、一緒に行ったら?」
と、言ってみると、娘も、
「それくらいなら。」
と、ゆ~ちゃんに声をかけた。ゆ~ちゃんは、案外、喜ばず、スマホを見つめたままだったが、
ふっと雰囲気が丸くなったような気もした。
(ゆ~ちゃんもだんだん難しい時期が始まったようだ。ご苦労様。)
と、娘にエールを送りながら、私は、また、藤井聡太君のニュースをパソコンで
追いかけだした。                               
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そして、ウィステの「押し」の藤居聡太君が、ついに八冠になりましたよ♪
おめでとう~。(^^)                               

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