阪森郁代「ランボオ連れて風の中」森のテラス 2012-12-20 05:53:20 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 地に生(あ)れて燃えやすきものあまたあるたとへば冬の風下の虹 冬の風下の虹。この言葉は美しい。それは滅びの予感を孕んでいるからだ。地上の恐らく燃えやすきものの中で最も美しいものだろう。人の存在もそれに含まれる。
阪森郁代「ランボオ連れて風の中」森のテラス 2012-12-19 05:53:16 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 鳥もまた鳥なるゆゑをかなしみて冬冷えの野に翼をたたむ 鳥は神の化身だ。神であるが故の悲しみ。それは総てが見えてしまうということ、総てを創造したものであるということ。それらのこと総てを抱えながら冬冷えの野に翼をたたむ。
阪森郁代「ランボオ連れて風の中」森のテラス 2012-12-18 05:55:34 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 野にさらすわが肺葉に白びかる冬の半月泛かべてみたり この一首にも野と葉というイメージのコントロールがある。肺葉に白びかる冬の半月を泛かべるというイメージ。自然の中にではなく自然を肺葉に。こういう発想の歌をあまり知らない。作者の歌が好きだ。
阪森郁代「ランボオ連れて風の中」森のテラス 2012-12-17 05:53:12 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 陽のひかり銀の肌して差し入りぬをりふし暗き森のテラスに 銀、差し入りからスプーンをイメージした。それが下敷きになってこの全体像が作られる。暗き森のテラスは一口食べられた跡のようで面白い。勿論、食べたのは神だ。
阪森郁代「ランボオ連れて風の中」森のテラス 2012-12-16 05:20:20 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 鳥の道まづかがやかせ猟々と秋の先頭渡りくるらむ 猟々とは風の吹くさま。秋の空は鳥の道がまづかがやく。そしてその道の先頭が過ぎた地上から秋になる。その後ろを王の一族のように鳥が渡る。秋の入口の美しいイメージが広がる。