中山道ひとり歩る記(旧中山道を歩く)

旧中山道に沿って忠実に歩いたつもりです。

・芭蕉の道を歩く
・旧日光街道を歩く

日本橋界隈:十軒店と長崎屋(旧中山道を歩く 7)

2005年01月21日 10時19分05秒 | 1.武州(東京都)の旧中山道を歩く(1~26
(日本橋界隈:十軒店と長崎屋)

海外で日本語ガイドさんの話す日本語のアクセントや言葉遣いで、
この人は大阪、この人は京都で、日本語を学んだなと判る。
言葉遣いによって、教わった場所や教えた先生の人柄なども、
自然と思い浮かんでくる。

東京の下町で学んだガイドさんも、言葉使いで判る。
「いらっしゃいまし」「しらがな(ひらがな)」
「しなびた町(ひなびた町)」などなど・・・を聞いていると、

日本語を教えた方は「和服姿で正座を崩さず、
背筋をピンと伸ばし、しかも粋な教師」
そんな姿が想いだされる。

印半纏、お祭、神輿、神社、鳥居、狛犬、なども日本的で、
こんな話になると、たかだか一二週間の外国の旅なのに、
日本が急に恋しくなるのは不思議だ。

日本橋にはそうした古き良き日本の姿を町中に沢山残している。
「日本橋」の橋だけで一時間以上費やした。


(東京市道路原票)

日本橋界隈には「老舗」が多く目に付く。
お店の名前を書くのもはばかられるが、思い切って書くことにする。

創業元禄3年(1690)の海苔の「山本山」、
かつぶしの「にんべん」は創業元禄12年(1699)、
創業寛政四年(1792)刃物の「木屋」、
飴の「栄太楼本舗」は安政4年(1857)
忘れてならないのが昔は「越後屋」、今「三越」は330年の歴史を持つ。
果物の「千疋屋」など、そのほかにも沢山の老舗が並ぶ。


(刃物の木屋)


(何屋さんか知らないが如何にも由緒ありそう)


(にんべんの看板)

また下町情緒あふれる人情、歯切れのよい言葉が飛び交い、
人々はきびきびと活動し、きっぷが自慢だ。
そんな下町を代表するかのような「日本橋」と書いた
印半纏を着た人たちを見かけると、
何かホットするのは、やはり日本人だからであろうか?


(日本橋の標半纏)

老舗デパートに沿って左折、貨幣博物館の先に橋が見える。

つまり日本橋から日本橋川の一つ上流にある常盤橋である。
橋を渡ると城壁があり、これが昔江戸城の、常盤橋御門の跡である。
説明によれば、奥州道に通じるこの御門は、
江戸城外郭の正門として、敵の侵入を防ぎ、味方の攻撃を
容易にするため、大きな切石を積み上げた「コ」の字型の
枡形門である。


(常盤橋門)

江戸城警備の関係で道がコの字型に作られており、
真っすぐ入ることはできない。
常盤橋門を突破して、江戸城が攻撃されないような
構造になっていたと言う。

今は公園になっているその常盤橋御門に
「青淵 渋沢栄一」の銅像がある。
渋沢栄一については、その出身地の深谷宿で述べることにする。


(渋沢栄一の像)

中山道に戻り進むと、次の信号から、
江戸通りまでの4~50mの間の短い通りに、

(昔は桃の節句や端午の節句の雛人形を売るために、
江戸時代の始めには十軒の仮店があって人形を売ったという。
それでこの通りを「十軒店」といった。
江戸時代には、三月と五月の節句や12月歳暮市には、
内裏雛、禿(かむろ)人形、飾り道具、甲(かぶと)人形、
鯉のぼり、破魔弓、手まり、羽子板など、
季節に応じた人形や玩具を売る店が軒を並べた。)
(中央区教育委員会)

しかし今はその跡形も無く、ただ上記の説明板があるだけ。

(十軒店の図)

先の信号、江戸通りの交叉点を渡り、右に折れると、
すぐ左側、JR新日本橋駅の出口に「長崎屋跡」の
史跡プレートが壁に架かっている。

このプレートによれば、
「江戸時代、ここに長崎屋という薬種屋があり、
長崎に駐在したオランダ商館長の江戸登城、
将軍拝謁の際の、定宿になった。
鎖国政策のため外国貿易を独占したオランダは、
幕府に謝意を表するため献上品を携えて、将軍に拝謁。
長崎から随行員に通訳、学者らが商館長に同行した。

随行員の中には、医者のツンベルクやシーボルトなどの
一流医学者がいたので、蘭学に興味を持つ桂川甫周や
平賀源内をはじめとする日本人医者、蘭学者が、
この長崎屋を訪問し、外国文化の交流の場として
有名になった。」

案内プレートには、葛飾北斎が描く長崎屋の繁盛振りが、
浮世絵になって載っている。

(長崎屋の浮世絵)

中山道からは道草になるが、そのまま直進し昭和通を横切ると
小伝馬町の信号がある。渡らないで左折すると
左手に小公園が見えるので、ぜひ寄って欲しい。
明治時代まであった伝馬町牢屋敷跡

十思公園がある。




コメント (10)
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