ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【補足】桜田義隆氏(衆議院議員・自民党)の「女性はもっと男性に寛大に」なるトークに思う

2022年07月15日 | その他の論考

 2022年7月5日、柏駅前(千葉県)で自民党衆議院議員桜田義隆氏が「女性はもっと男性に寛大に」などと語りかけた。この問題は、すでにかなり話題になっており、ネット署名まで始まっている。
 私なりに深堀してみたい。冒頭に「少子化は大変な問題なんです」と切り出し、「今結婚しても、お子さんをつくらない。結婚しない男女が結構多いんですよね。50歳の男の人で、20%が独身だっていうんですよ。パートナーがいない」。
 続けて「ちょっと言いづらいことですが、男の人は結婚したがっているんですけど、女の人は無理して結婚しなくていいという人が、最近増えちゃっているんですよね。嘆かわしいことですけどもね。女性も、もっともっと、男の人に寛大になっていただけたら、ありがたいなと思っている。」
 「ちよっと問題発言かなと思うんですけども、男の希望としては、そういうことを思っているということでございますので、よろしくどうぞお願いいたします」と、朝日新聞が報じた。

 ここに、根深い「男意識」が露呈していると私は思う。「ちょっと、ちょっと」と繰り返しオブラートに包みながら、ずーずーしく女性に要望を出しているのだ。結婚しなさいね、男に従い、子供を産み、育てなさいねと。

 私は桜井義隆なる人物をほとんど知らなかった。彼自身のHPとウィキペディアをみてみた。彼は1949年12月生まれ(72歳)。団塊の世代の最後。建設会社社長から柏市議会、千葉県議会、1996年に国会議員に当選した。2018年-19年、国務大臣(東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当)もやっている。言い間違い、失言は数知れず、お陰で応援弁士として呼ばれることは希だったようだ。不用意な、没論理が露呈するタイプなのだろう。
 要するにこの日の話は彼の本音トークではなかろうか。私が断わるまでもないことだが、この国における少子化問題は1970年代から予測されてきた社会問題だ。以降、打開策が打たれることもなく、年々事態が悪化してきたのだ。
 彼は、端的に社会問題の解決を個々の男女、特に女性に求めている。人権に留意する気配すらない。「生んでちょうだいよー」と言いたいのか。生みやすい、育てやすい社会を構築する努力が政治家のお努めだろうに。

 そこで彼のHPから掲げている政策を確認した。「桜田よしたかが考える、日本再生の道筋!」―「①千葉・柏道路と都市軸道路の早期実現、②法改正・自主憲法の制定、③不妊治療への支援拡充、④教育の再生、⑤日本が抱える諸問題への対応」とある。
 本件に関係がありそうな事項を見てみよう。②「法改正・自主憲法制定」に「憲法改正、自主憲法制定で日本の改革・発展。緊急事態条項、第9条、環境権、プライバシー」をあげている。彼は法改正と憲法の改正の区別すらついていないようだ。憲法は時の権力を縛り、人々の人権を守り、法を縛るもの。法は社会のあり方を定め、人々を縛る。彼はこの重大な差異を「法改正・自主憲法制定」と書くことで、物事に対してルーズであり、主観的だとわかる。女性に対しても、改憲に対しても。
 ここであげている軍事化を強めていけば、人口問題は労働問題ばかりか、軍事力の問題に及ぶ。軍人の調達(徴兵制)が彼の頭にも浮かんでいるのではないか。
 緊急事態条項や第9条に続けて、環境権とプライバシー権を挙げており、彼が示しているのは2012年の自民党改正草案だろう。これはほぼ全文改正案だった。

 ③不妊治療への支援拡充。ここでこう言っている。「(前略)子は宝であり、子をもちたいと望むすべての方に願いが叶うよう支援の拡充を求めて参ります」。なぜ不妊治療に特化しているのだろうか、私には解せない。ちなみに⑤「日本が抱える諸問題への対応」にも少子化対策は全く含まれていないのだ。
 

 ④「教育の再生」にこうある。「道徳教育による教育再生。土曜授業で道徳・スポーツ教育、防災教育も充実」とある。教育再生のキーワードは「道徳教育」とあり、得体が知れない。学力の低下や教育現場の荒廃も「道徳教育」が解決してくれるらしい。
そうか道徳教育で「夫唱婦随」(実は家父長制)をがっちり仕込めば、「産めよ、殖やせよ」になると考えているのだろう。

 私の疑いをウィキペディアからみておこう。彼は選択的夫婦別姓に反対(請願に反対している)、ジェンダー・フリーにもとづく男女共同参画にも反対だ。そして彼は日本会議国会議員懇談会、神道政治連盟国会議員懇談会、みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会などの会員だ。こうしてみてくると、彼の本音は男尊女卑なのではなかろうか。

 ただ問題は根深い。男なる者の男権(男根)主義を克服していかなければ、歴史の揺り戻しが起こりうる。無根拠な「男は偉い」を克服し新たな関係を生み出していきたい。私もジェンダー・フリーを極めて重要だと考えている。自分の問題として考えたい。(2022年7月15日)



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