別件で資料を読んでいたらこんな物を発見しました。「Ⅳ 2020年東京オリンピック・パラリンピック」の項に「閣僚は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、両政府が、政府全体の努力を通じて、引き続き緊密に協力する意図を確認した」とあります(全文)。これだけみたらただの一般的な両国の約束ですが。
これは「2019年日米安全保障協議委員会ファクトシート」の末文です。何かと言えば米日政府の「2+2」閣僚会議の共同発表に付された特記事項。「2+2」とは、米国政府の国務長官と国防長官+日本政府の外務大臣と防衛大臣の会談です。そこにオリンピックが出てきます。きな臭い。不思議だと思いません? 菅首相はこういっています。「オリンピックは平和の祭典」だと。しかし現代政治は魑魅魍魎なようです。
このコミュニケ(20190419)の概要をひと言で言えばこうです。「日本の安全及びインド太平洋地域の平和と安定を確保」です。主敵は名指ししていませんが明らかに中国です。そしてファクトシートは、「Ⅰ二国間の安全保障・防衛協力」、「Ⅱ在日米軍」、「Ⅲ自由で開かれたインド太平洋のためのパートナー国との協働」、「Ⅳ2020東京オリンピック・パラリンピック」です。明らかに米日の軍事同盟・軍事問題の中にオリンピックを位置づけています。
Ⅰには「領域横断作戦のための協力」、「日米同盟の能力強化」、「運用の即応性及び協力」が掲げられています。Ⅱには「米軍再編」関連が、Ⅲには多国間安保と中国をターゲットとした「自由の航行作戦」が揚げられています。領域横断作戦は、宇宙戦・電子戦・サイバー戦を従来の軍事作戦に新たに追加し、統合した総合戦略です。
この当時はコロナ禍が表面化する前ですが、オリンピックを挟んでオリンピック外交が行われるし、色々な丁々発止が起こりうる。情報戦を怠るな。ドサクサに紛れたサイバー攻撃などにも特段の対処を。敢えて自由の航行作戦をしかけて、様子を窺えなども、ありえそう。などなど。油断も隙もありゃしない。
「政府全体の努力」とありますから、軍隊ばかりか外務省や内閣情報調査室、警察庁、米国で言えばCIAや、様々な秘密部隊が動くのかも知れません。何がどう動くのか分かりませんが、オリンピックにもきな臭さがべったりくっついていることは間違いないでしょう。
私も大いに注目していきます。因にトランプ政権もバイデン政権も対中安保では50歩100歩です。