ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

歴史書を読む(20220214)

2022年02月14日 | その他の論考

 昨日、川満彰の「陸軍中野学校と沖縄戦」(吉川弘文館 2018刊)を読了。続いて同氏著「沖縄戦の子どもたち」(吉川弘文館 2021刊)を読むつもりで頁を開いたら、新刊ご案内が出てきた(2021年2月)。一年前だ。吉川弘文館は、歴史学術出版社だ。私は比較的最近、ここのを読むようになった。学術書っぽくて、とっつきにくい、「中立的な歴史像」が多そうだと思っていたから、避けてきた。

 しかし人間がやってきたことをどの側面から切るかだから、色々あっていいんじゃないか。そのぐらい、多様性を重視して考えるべきだろうと、思い直している今日この頃だ。

 新刊案内なので、私は一冊も読んでいないが、面白そうだと思う本について少し触れたい。水野章二著「災害と生きる中世」は、「中世の人々は、日常的に起こる災害にどのように立ち向かったのか」とある。記録が乏しい時間のことであり、正確さを欠くにしても、経済・科学技術といった後知恵が効かなかった時代の人間の苦労を知ることは重要だろう。今に生かせることもきっと少なくあるまい。

 「列島の戦国史」全9刊があるが、私は感心しない。武士の栄枯盛衰など、クソクラエだ。武力と痴情で権力を取り、下克上の姿はすさまじかったのだろう。しかし、近代も近世の延長を大きく含んでおり、無視できないはずだ。近代はブルジョワ革命で、断絶しているというのは、違う。これは多分ヨーロッパでも大なり小なりそうだろう。

 その他の中で、いくつか興味深いものがある。酒井雅代著「近世日朝関係と対馬藩」。8500円という学術書丸出しのお値段だが、秀吉の朝鮮侵略前後の対馬藩の独自性はもっと注目すべきだと、私は考えている。徳川幕府と対馬藩という関係や、対馬藩と琉球国との関係にどれだけ言及されているのか分からないが、興味深い一冊だ。武力支配に対峙する交渉の世界から、今日の私たちも学べることがあるはずだ。

 浜井和史著「戦没者遺骨収集と戦後日本」。これを読まぬ手はないだろう。但し9500円。図書館に直行か。「『遺骨収集事業』をめぐる外交交渉や政策決定過程を分析し、歴史的に考察。靖国問題にとどまらない戦没者と国家の関係をめぐる研究に新たな視座」とある。

 これは今まさに沖縄で問題にしているところであり、日本全体像と沖縄との違いに注目して読めば、意味深い書物だろう。私は、同書を見てもいないので、あくまでも期待できるということだ。

 東京鉄道管理局写真部編「関東大震災 鉄道被害写真集 惨状と復旧1923-24」は、当時の写真がまとめられている。きっと貴重な写真が多いことだろう。現場の鉄道マンが残した記録だから、これは見てみたい。但し18000円。図書館で見ようね。

 「歴史とは暗記」だという観念から私たちは自由にならなければ、世界を変えることは不可能だ。同時に自分を生きることも不可能だ。歴史学は自己と社会と向き合う学問だと知らなければダメだろう。 川満さんの「沖縄戦の子どもたち」はまさにこの点を明白に読みとれるはずだ。彼は基地の街コザに暮らしていたからね。私は、目次と「あとがき」を読んだだけだが、そう確信している。



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