いよいよ今回の宮古島の旅のハイライトに迫る。運動の局面は保良(ぼら)への弾薬庫等の建設/阻止の闘いにある。しかし今時の軍事基地は網がつながってこそ力が生み出されるものなのだ。ここを間違ってはならない。
これまで宮古島に設置されていた自衛隊の基地は航空自衛隊の第53警戒隊だ。要はレーダー基地。敵機来襲に備えているというのか、半径500キロに亘って、飛行機であれ、ミサイルであれ、常時監視中。因みに琉球諸島にある警戒隊は西から第53(宮古島野原)、第54警戒隊(久米島)、第56警戒群(沖縄島糸満市与座岳)、第55警戒隊(沖永良部島)となる(隊と群は規模の違い。群が大きい)
2019年3月、宮古島に陸自警備隊380名が進駐した。千代田地区だ。この部隊配置は、過渡的であり、対艦ミサイル部隊と対空ミサイル部隊がここの主力部隊になる。保良の弾薬庫はこちらのためだ。警備隊はこのミサイル部隊の護衛であり、不幸にも戦闘が始まれば、最前線の中の初動部隊との位置づけであり、最も損耗率の激しい部隊となる。
野原だ千代田といっても見当が付かないだろう。宮古空港から野原は3500m、同じく千代田は3750m。野原と平良湾(港)は7000mだ。実に近いわけだ。車両で走れば10分足らず。陸自は陣地戦だが、移動能力は肝心なことだ。弾薬や燃料(自動車・ヘリ・オスプレイ等)、食糧の供給は欠かせないし、部隊の増強も必要になる。
しかし野原のレーダー基地から千代田の基地まで1250mしかない。この間に農地が広がり、平坦で見通しが良い。私に言わせれば、レーダー基地もろとも攻撃して下さいとしか思えない位置なのだ。これには裏がある。防衛省に聞きたいところだが、地元の団体が何度聞いても応えてくれない。宮古島市も何とお国の立場が重要らしい。仕方がないので私が答える。
宮古島警備隊正門。しかし県道側でなく反対の農道に接続している。第53警戒隊を向いている。
これが千代田駐屯地。基地に反対の農家の真ん前だ。
正門北側にさらに建築中。トラックや装甲車が並ぶ。
千代田から見た野原。2つのドームがJ/FPS-7最新鋭の探知レーダーだ。この野原の丘(最高点108m)幅約700mにレーダー群が広がる。
私が注目しているのはこの斜面だ。このうち幅約500mの斜面は厚くコンクリートが張られており、標高90mから50m(西側は約50mであり、東の千代田側も56m)の高さにして約40m、そして奥域30mはある。地下要塞ができていよう。私がこう断じるのは、ここを撮り続けてきたからであり、地形図から読み込み推定しているのだ。
そうでなければ、ここにミサイル部隊の司令部を置くなど、マジとは思えない。今回恵まれたのは、サトウキビが育つ前で、あちこちからの見通しが良かった。
千代田前から野原。正面の緑はコンクリートを緑色に偽装している。黒く見えるのは入り口。上部まで厚さ1.5mぐらいありそうだ。ガードレールが見えるが、ここは駐車場。
レーダーの間に道が通っている。この斜面も先ほどの右側につながっている。左の円形の建物は農業用水の貯水槽の触れ込みだが、基地の敷地内にある。レーダー基地全体の空冷装置に使われているだろう。このレーダーは2014年から17年度にかけて最新鋭の物に取り替えられた。レーダーの換装だけで3年もかかるわけがない。
左のレーダーから右の建物まで幅500mある。手前の白い建物は民家。
千代田の東側から野原を見る。こんなに近いのだ。1250m。あそこがやられたらこちらもやられるし、間にある畑地も民家もアウトだ。
しかし好き者がいる。「自衛隊大歓迎」。土建屋さんや給油業者の皆さんだ。
正面奥が宮古飛行場。
ついでにもう一枚。千代田の北側。トラックに積まれている白のボックスは小銃等が入っている。4箱見える。