ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け35年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【拡散願います】辺野古変電所周辺の高圧線地中化工事がもたらすもの(20211018)

2021年10月18日 | 米軍/自衛隊

 沖縄電力辺野古変電所の改修工事については、当ブログ2021年10月1日などの記事で報告した。同時に高圧線の地中化工事が始まっていることも同記事で示した。この問題は、二つの意味で大きな問題なのだ。これは新基地建設に伴う電気供給量の増大を図るだけではないのだ。

 私は10月16日に、現地調査を行った。この報告の前に、この問題の前提を示しておきたい。変電所の改修に、高圧線の地中化がなぜ伴うかだ。

 その前に大前提をひとこと。電気は電気ケーブル・電線を伝わって発電所から、送電線(=高圧線)を経て、変電所で、電圧を下げ、配電線(普通の電柱にある電線・地下管路のケーブルなど)を通して各家庭や工場、軍事基地に供給されている。辺野古変電所は米国海兵隊キャンプ・シュワブに電気を送っている。なお、私は辺野古変電所は米軍キャンプ・シュワブ専用施設だと見ている。

 高圧線の地中化は、2006年に新基地建設の場所が辺野古沖から、今の辺野古・大浦湾(沿岸案)に変わった時点で、論理的には生じた問題だ。それが米軍の飛行場だからだ。

 ご承知の通り、日本の領土内で飛行場を造るには、航空法などの規制がある。安全基準があるのだ。しかし米・日政府は、これを無視。建設を進めてきた。しかし防衛庁・省は、米国の基準を無視できず、この問題を調査したのが、2011年だった。もちろん内密にやっており、私たちには何も知らされていなかった。

 これを暴露したのが、2018年4月の沖縄タイムスだ。大スクープだった。米国国防総省策定の飛行場設置基準に照らせば、「水平表面」の制限は滑走路の周囲2286mの範囲内に標高約55m以上の構造物がないこととなる。この報道当時、滑走路は海面から10mの高さに設置されることになっており、滑走路の水平面から約45m以上の構造物がないこととなる。今の設計書(防衛省が沖縄県に提出している変更申請書)では、滑走路面の高さは8.1mだから、当時よりも約2m下がっている。

 この国(安倍政権)は、この問題を隠して、建設工事を始めたのが2014年夏だった。この事実を暴露した沖縄タイムスの記事を見て、私たちは驚きを禁じ得なかった。しかし彼らは強者だ。約300余りの違反構造物の大半を「例外とする」としたのだ。ただ、この高圧線の鉄塔・送電線と西側にある携帯電話の通信塔4基を移設するとしただけだった。通信塔は滑走路の進入路の近くであり、当然だろう。では、なぜ高圧線も地中化するのか。

 住民等の安全を無視しながら、高圧線をなぜと、私は強く思っていた。今更に思っている。彼らが考える論拠は2つ。①この高圧線が、米軍基地の維持管理=運用に欠かせないからだ。これが破断したら、キャンプシュワブの機能はもたないのだ。米軍機が高圧線で万が一にも事故ったら、いわば「自爆」となる。米軍基地の悪名を高める以前に、基地機能が大破してしまう。

 もうひとつあるのではないのか。これらの変電所・高圧線の位置は滑走路から見て、北側から北西に位置している。普通に飛んでいたら、まず引っかかる位置ではない。彼ら(米軍)が懸念していることは、キャンプシュワブ内に複数あるヘリパッドを使う演習に支障をきたすからだろう。

 無論、今も高圧線はある。オスプレイやヘリのこの周辺での演習は日常茶飯事だ。これを地中化して、飛行場ができれば、周辺を飛ぶ飛行回数は飛躍的に高まり、ヘリパッドを使う演習も増やすことができるのだ。これは軍隊にとって、万々歳ではないか。

 現在の普天間基地は、宜野湾市のど真ん中にある。滑走路や駐機場、民家とのギリギリの場所での滞空飛行、離発着はやっているが、その周りに演習場はない。しかるにここならば、そこに海兵隊員が駐留しており、機体の離発着ばかりか、兵隊の下降、乗り込みなどバリバリできる。演習効率を飛躍的に高めることができる。沖合に停泊するドック型揚陸艦と演習場内のヘリパッドの間の訓練もできる。

 こうなれば、普天間の騒音、危険性の何倍もが、辺野古・豊原そして大浦湾側に襲いかかることになる。だが市街地じゃないから、宜野湾市民は、ひと安心(?)。多くの市街地にすんでいる市民にとって、安全・安心になる? この先の問題は、本稿では略すが、そうはなるまい。沖縄全体の基地機能が増強されていくからだ。(続く) 

 



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