ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【拡散願います】琉球諸島を意識した戦争の大規模演習が始まっている(20210929)

2021年09月29日 | 米軍/自衛隊

 陸上自衛隊は、2021年9月15日から11月下旬まで、総員10万人という琉球諸島を意識した「島嶼防衛戦争」の大規模演習を始めている。この規模の演習は1993年以来だという。

 陸上自衛隊が出しているニュースリリースと9月12日、16日の小さな記事(沖縄タイムス)しか手元にないが、簡単にまとめておこう。

 陸自の文書(2021年9月9日)に目的がこう出ている。「任務遂行能力及び運用の実効性向上を図り、抑止力・対処力の強化に寄与する。この際、作戦準備における陸上自衛隊としての各種部隊行動を演練し、運用の実効性向上に資する」とあるのだが、業界用語ばかりで、理解不能だ。要するに「抑止力・対処力」とは、大雑把に言えば、戦争力だ。敵の攻撃を押さえ込み、撃破する。各種部隊行動とは、以下のことをやるらしいが、重要なことは普段彼らは、駐屯地ごとにいる。戦争に必要な各種部隊が揃っていない。これを適宜必要なところに集めて、ユニットを組んで戦闘態勢をとらなければならない。

 訓練内容は以下の5項目。①出動準備訓練、②機動展開訓練、③出動整備訓練、④兵站・衛生訓練、⑤システム通信訓練だ。重要なことは②の機動展開訓練だ。大規模な部隊を遠距離に如何に運び、即応体制をとるのか。この前提として、①と③がある。集結したがざわざわし、もたついていたら、始まらない(撃破される)。また④と⑤は、戦闘には通信網の確保が重要であり、特に大規模、広域での戦闘に不可欠だ。④の兵站・衛生は、前線を支える(再生産する)力として、如何にしたら機能するか、死活的な問題だろう。

 演習部隊は、陸上総体、各方面隊、各防衛大臣直轄部隊及び機関だという。支援部隊は、海上自衛隊、航空自衛隊、在日米陸軍だ。約10万人。

 陸上総隊とは、陸自の総司令部と、直轄部隊であり、各方面隊が主たる実働部隊だ。陸上総隊の直轄部隊に、水陸機動団、空挺団、ヘリコプター団、中央即応連隊・特殊作戦群、中央特殊武器防護隊(核・生物・化学兵器対処部隊)がある。通信団は、陸上幕僚監部の下にあるし、情報保全隊は、防衛省(陸海空)の直轄部隊だ。こうした機動展開は、いわば戦争を始める初期段階だから、情報保全活動(自衛隊内部への、そして何よりも民衆への監視活動)は著しく強化されるだろう。

 海上自衛隊、航空自衛隊はそれぞれ輸送能力であり、今回は、輸送を防護する戦闘部隊をどれだけ伴うのか否か不明だ。在日米陸軍とは、いささか奇異に思われるかも知れないが、米軍は陸軍に物資等と人員を運ぶ輸送艇をもっている。

 10万人と言うが、陸自の定数は約15万人だ。現員は138000人(2020年3月末の数字)であり、驚くべき数だ。この10万人に、海空自衛隊等が含まれているのかも知れないが、それにしても並々ならぬ戦争準備の決意の現れだろう。

 特に基幹部隊となるのは、北部方面隊(北海道)の第2師団(旭川)、東北方面隊の第6師団、中部方面隊の第14旅団が担当するようだ。第2師団には、即応機動連隊は組織されていないので、詳細がわからない。第3地対艦ミサイル連隊(上富良野)が動員される可能性もある。第6師団は第22即応機動連隊(宮城県多賀城)があり、ここが中心部隊だろう。第14旅団(香川県善通寺)は第15即応機動連隊(善通寺)が中心部隊だ。

 即応機動連隊は、私が再三指摘してきた通り、「島嶼防衛」・奪還作戦の主力部隊となる。

 「島嶼防衛作戦」の最大の肝は、輸送能力如何にかかっている。長らく「専守防衛」だった自衛隊の輸送能力は未熟だ。民間船を期待している。今回の集結地は九州の某地だから、自動車輸送が効くが、琉球諸島となればこれは不可だ。だから必死で、新たな輸送艦、輸送艇を整えようとしている。

 9月15日、沖縄の第15旅団は中城港から青森港を拠点とする民間船「ナッチャンWorld」で人員・物資を載せて移動したようだ。報道によれば弾薬を載せていないというが、武器を持たない軍隊はないのだ。

 また、中城港からというのも気になる。自衛隊が船で出るとき、中城港を狙っていると私は、約10年前から考えていたからだ。ホワイトビーチでは米軍と競合するし、那覇軍港では目立ちすぎる。今後は浦添新港と、中城港が使われていくのではないか。

 今回の演習の情報はこれから集めないと詳細はわからないが、各地の情報をこまめに集めて紹介していきたい。琉球諸島を戦場にしてはならないからだ。日本列島を戦場にしてもならない。

 

 

 

 



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