沖縄防衛局が2020年6月9日付けで、「石垣島の陸自配備について」のお知らせを出している。このタイトルでは何のことだかさっぱり分からない。このブログでも既報の通り、石垣島の駐屯地建設現場周辺でカンムリワシの営巣が確認されたので暫く工事を中断していたのだ(2020年5月21日付けの沖縄防衛局のお知らせ)。このお知らせは、6月10日から工事を再開するとのお知らせだ。
「(前略)今般有識者からの意見を踏まえ、必要な保全対策(営巣活動が確認された周辺においては突発的な作業音が生じる岩石破砕作業を一時的に控える等)を行い環境に配慮しつつ適切に工事を進めることについて石垣市と協議を行った結果、6月10日から工事を再開(後略)」とある。
そうだったのか。雛が巣立つまで作業を中断するのではなく、作業をやるための方法を確認するまでの「中断」だったのか!
八重山毎日が報じるところ(20200611)では、有識者とは本島在住の人だが、「中立性を保つため」非公開だと。どこの誰だか存じませぬが、現場を継続的に観察していない者が鳥類保護の有識者だとは恐れ入りました。また「カンムリワシの生存条件を検討することのどこに「中立性」が求められるのか、意味不明。かくかくしかじかと説明できないから隠しているだけじゃないか。
カンムリワシは国内的には石垣島と西表島にしか生息していないワシの仲間(与那国島でも観察記録あり)。2つの島で200羽を切っているようだ(環境省による全島一斉カンウント調査で2006年石垣島:78羽、西表島:58羽。2012年石垣島:110羽、西表島:78羽)。特別天然記念物に指定されており、また、絶滅危惧1A類(CR)と最も絶滅危惧度が高いとされている種だ。
この建設予定地周辺は水田や湿原、マングローブ林などが扇状に広がるカンムリワシの生息条件を満たしている地域である。このど真ん中に基地を造り、全島的に(詳細は明らかにされていない)対艦ミサイル、対空ミサイルの発射展開訓練(有事となれば実射)を行うにもかかわらず(1チーム5,6台のトラックで展開)、沖縄防衛局は環境影響調査すらやらずに工事に取りかかったのだ(2019年3月から)。
沖縄防衛局は、これまで月に1度の調査しかやっていなかったが、2回にするという。月に1回や2回のずさんな調査で、よくも影響がないなどと言えるものだ。
既に卵からふ化しており、親鳥が餌を与えている時期のようであり、非常に微妙な時期に当たるはずだ。また、いつ巣立ちするかもわからない。大空を飛ぶようになり、独り立ちできるまでの経過等詳細な記録があるのだろうか。交通事故による死傷事故も度々起きている。懸念は尽きない。今回、詳細な経過観察が記録され、保存され、公開されなければならない。
環境への配慮とか、種の保全と真逆な基地建設は止めるべきだ!