ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【拡散願います】【訂】【補正】森の精と、海兵隊対空レーダー 石垣島 RD③(20231025-➁)

2023年11月07日 | 八重山

2023年10月25日(水)晴れ

石垣島2日目 

 今回の私は、24日石垣空港での陸上自衛隊オスプレイを撮ると決めていたが、あとのことは現地で考えるしかなかった。一方で、海兵隊がTPS-80(対空レーダー)を展開すると聞いた。これを撮れないかと私は考えた。さてどこから撮れるかを地形図で勘案し、ここならば可能性はゼロではないと判断した。

 24日夜のNHKのニュースでも一瞬流れたが、一瞬だけだった。その問題点を洗い出す視点はゼロだった。25日の八重山毎日、八重山日報もこれを報じたが、突っ込んだ内容はなかった。

 私の狙いは嵩田山(たけだやま)の尾根の一角からだ。これまでもこのルートを私は何度も歩いてきた。位置と角度からして見える可能性はあるだろう。ダメもとで行こう。

 バスを「於茂登」で下車。

バス停前から見る於茂登岳。526m 沖縄県内最高峰。私は一度だけ登った事がある。手前の尾根が嵩田山(202m)から東に続いている尾根。石垣駐屯地はこの尾根の下に造られた。於茂登から西へ約2km。9:27

北西に於茂登岳方面に歩き出す。

左が於茂登岳、右が桴海於茂登岳(477m)農地の奥は山間部。9:36

サトウキビ畑のスクリンプラー。左上が於茂登岳。9:42

嵩田山の尾根に入る。

根が幅広に伸びる大木。9:49

リュウキュウアサギマダラ。9:55

こんな山道を行く。10:00

10:38 やっと着いた。ここから見えるのだ。駐屯地の一角が見える(南側)。

この森は八重山農林高校の演習林だ。南側も北側も。

おう、あれだ!! 10:38 しかしよく見えないな。葉が邪魔だ。

10:45 葉が上手く動いてくれないと、厳しいぞ。

やっとほぼ全身が見えた。TPS-80レーダー。回転している。10:46

10:46 レーダー左下側と右側に別の機材がある。セットだろう。レーダー下は電源機材だろう。

左(東)側。ここの03式地対空誘導弾だろう。10:48

後ろを振り向いたらこれだ。10:49

カラスアゲハ。

1.5m。10:51

静寂な時間が流れる。

10:52 このデカイ落差に私は震える思いがする。この生命圏の南の下側に軍隊が展開しているのだ。

嫌でも緊張感が高まる。

森の風の精にお願いする。風よ吹け!

風が吹き、一瞬視界が広がった。10:57

レーダー、電源機材、右に3台のトラック。もう少し見えないだろうか。

風を待つ私。

右のトラック脇に兵隊が5名。11:05

11:06 風の精は動いてくれた。トラックがそこそこ見える。

このレーダーシステムはレーダーシステム、通信機器システム、電力機器システムで構成されている。

最新式らしくまだネットにもきちんとした資料が挙げられていない。メーカーのノースロップグラマン社の宣伝パンフ(のようなもの)、海兵隊の導入後の報告書、MDAAというミサイル防衛に関する軍学共同研究機関ぐらいだ。ウィキペディアの情報も極めて部分的で整理されていない。

MDAA等の資料から私なりに整理すると以下。

次世代の航空監視、防空、航空交通管制レーダーのようだ。防空能力、反撃目標捕捉能力、目標追跡能力、航空交通管制能力をもつ。防空は、有人・無人航空機、巡航ミサイル、ロケット、大砲、迫撃砲などの飛来する目標を探知し、対地、対砲台/火器管制機能を追加する。殆どの攻撃物に対応できるようだ。多目標を把握し、対空・対地の攻撃を撃破するためのマルチレーダーである。

海兵隊(第2海兵航空管制飛行隊)の資料に寄れば、大西洋側で野外演習中であり、新しいAN/TPS-80航空システムをテスト中としている(2017年8月23日)。そして海兵空地任務部隊(MAGTF)を支援する機材だという。このMAGTFは陸・空の戦力及び兵站支援能力を備えた部隊を自己完結型に展開する。指揮部隊、地上戦闘部隊と航空戦闘部隊、そして兵站戦闘部隊が一連で動く。部隊の規模によって様々である。

沖縄には、第3海兵遠征軍、第3海兵遠征旅団、第31海兵遠征部隊として組織されている。地上戦闘部隊はキャンプ・ハンセンに砲兵部隊、キャンプ・シュワブに歩兵部隊が駐屯している。航空戦闘部隊は普天間基地と岩国基地(山口県)である。兵站戦闘部隊は牧港補給地区などなどだ。これらの部隊が戦争目的に応じて規模を決め、この海兵空地任務部隊を構成することになる。

この海兵空地任務部隊に、このAN/TPS-80航空レーダーシステムが役に立つというのだ。特に敵(地)と近接した場所での攻防に優れものだとすれば(このレーダーの射程は約80km)、島々を跨いで機能するだろう。ただし、石垣島の八重山駐屯地内の敷地では、北側を於茂登岳でふさがれており、レーダー照射は不可能だ。ということは、石垣島内外のどこにこのレーダーを据えるつもりなのかを私たちは予測しなければならない。それによって、危険な場所は八重山全域に広がるかもしれないのだ。レーダーも当然攻撃を受けるからだ。もちろん、レーダーを置くということは迎撃ミサイルを置く(発射する)ことになだろう。

 私が軍事能力を予測したい意図は、住民にとっての危険性を知ることであり、知らせることだ。これこそ軍事vs自治の基礎というものだ。尚、防衛省が示した資料にある「石垣駐屯地の使用について」に示されている米軍:第1海兵航空団の管制部門がこのレーダーを扱ったのだろう。

ふと後ろを見たら、まだいる。カラスアゲハだ。何を吸っているのだろう。11:14

今日はこのまま元来た道を戻る。

11:28 石垣市教育委員会文化財課の看板。「動植物の採取はおやめください」

こういう森の中に軍事基地が造られたことの不条理を私は思う。

 

尾根の北側。空が明るい。11:44

ずんずん下る。

草むらの脇で蝶を撮ろうと座り込む。

トンボだ。12:21

沖縄に紅色のトンボは何種もおり、いつも悩まされる。これはなんだろう。「沖縄のトンボ図鑑」を観たが、私には分からなかった。

同じ場所で。12:31

草むらには期待通り蝶が来ない。木陰にこれが飛んでいる。停まるとピタッとしてしまうが、翅の表側の前翅は黒、後翅は茶褐色のようだ。私は初めて見る種だ。

12:45 ウスイロコノマチョウかもしれない。地味だが美しかった。

ここで1時間近く座り込んで撮ったことになる。お疲れ様。

(続く)



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