ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き、琉球諸島を巡る基地・戦争への道を問いかけ、自然を語る。●無断転載、お断り。
 

「米名門大教授、論文にデマ」に怒る!!!(20210228)

2021年02月28日 | その他の論考

 今朝(2021年2月28日)の沖縄タイムスの1面左上に「米名門大教授、論文にデマ」「『新基地反対は私欲』『旧軍が普天間購入』などとの論文を公表しているそうだ。彼の名はJ・マーク・ラムザイヤー。ハーバード大教授。論文名は「底辺層に於ける相互監視の理論ー被差別出身者、在日コリアン、沖縄の人々を例に」(2020年1月公表)だそうだ。

 一見、社会学風なタイトルだが、彼の専門は会社法や経済学。大胆に専門外に首をつっこんだのか、わからないが、沖縄タイムスの記事によればこうだ。「ラムザイヤー氏は論文で公務員や軍用地主を沖縄内部のエリートと位置づけ、自らの給与や地代をつりあげる『ゆすり戦略』のため反対運動に従事していると主張しているが、直接の根拠を示していない。一部エリートと本土の活動家の利益のために一般県民が犠牲になっている、との構図を描く」そうだ。

 こういう暴論を過去にも聞かされてきた。『ゆすり戦略』発言はケビン・メア氏(米国の沖縄総領事ー2006-09年在職)が有名だ。この発言はメア氏の「決断できない日本」(文春新書ー2011刊)で、そもそも「ゆすり」という言葉を知らなかったなどと全面的に否定し、国の補助金に沖縄の人々がたかり、普天間基地の移設を遅らせており、最大の障害になっていると説明している。確かに米国人と日本人では言葉に対する感覚が異なるだろう。しかし沖縄の反基地運動を歪曲し貶めていることは、否定できない。

 今回の論文の全体像を知ることはできないが、メア氏のような偏見が陰に陽にあって書かれているのだろう。そのことは同論文の上記タイトルをみれば、推定できる。

 ラムザイヤー氏は基本的な事実を全く認識できていない。「普天間基地は日本軍が購入し、1942年工事を開始した」とか。こんなことをいっているようじゃ、大学教授の名前が泣く。普天間基地を造ったのは、米国・米軍が沖縄にのし上がった後の1945年6月から土地を強制的に取り上げて造っていった。ここは日本軍はノータッチ。今でも480㌶のうち420㌶は私有地であり、国有地は36㌶にすぎず、これも戦後、国が買い上げたものだ。

 何故こうした誤認が起きるのだろうか。基本的な事実ぐらい当たってから論じるべきだ。彼は日本で学び教えていたこともあるそうだ。それだけに単純なミスではなく、恣意的なものだろう。彼の偏見は、勝者の目から生まれたのだろう。米国は沖縄を占領し、次々と基地を造り拡張していった。普天間基地は正にその典型であり、ハーグ陸戦条約を順守すれば全面返還すべき土地だ。この国際法を破ったままの米国を法学者である彼が知らない(無視)とすれば、論外だ。

 同論文の中で彼はこうもいっているようだ。例えば、辺野古新基地建設に一般県民は賛成したのに地元エリートと本土活動家が反対。普天間で地代が支払われている面積の合計は実際の飛行場面積よりも広いとか。事実無根の話しをベースに書いているのだ。

 で、ネットで彼の名前を検索した。でていた。「ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所は、日本研究の支援を行う世界で最も歴史のある研究所のひとつです。 日本とハーバード大学、さらには日本とアメリカのさらなる関係強化に貢献することを使命とし、社会、文化、経済、政治まで、日本に関する幅広い分野での学術交流を推進しています」とあるハーバード大ライシャワー日本研究所のホームページに中に彼の名がでてくるのだ。

 そこで彼の略歴を「ゴーシェン大学より学士号(歴史学)、ミシガン大学より修士号(日本学)を取得。ハーバード大学ロースクールを優秀者(magna cum laude)として卒業し法務博士を取得。企業法、日本法について教鞭を執る。1985〜86年、フルブライト研究員として東京大学に在籍。その後、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校(1986-92)、シカゴ大学(1992-98)を経て現職。一橋大学、東京大学、東北大学では日本語での授業経験があり、またバージニア大学でも教鞭を執った。シカゴ大学では、日本学委員会の委員長を数年務めている」と紹介されている。

 こうした方が堂々と差別を振りまく構造に、私は驚愕する。知日派の研究所が紹介している彼が言うことがさらなる沖縄に対する差別をふりまいているのだろう。

 沖縄タイムスはこう論じている。「ラムザイヤー氏が放った『米国は寛大に沖縄を統治したが、それが依存体質を生んだ』『能力が高い住民は去り、能力が低い住民は県内に残って補助金を受け取る』などの言葉は、差別する側の権力者や多数派を免罪し、沖縄の人々の尊厳を攻撃する。/論文は被差別出身者、在日コリアンに対しても同様の言及をしている。学問の衣をまとった差別の正当化は害悪が大きく、権威に応じた重い責任が問われる」。まさにその通りだろう。私は益々沖縄差別と正面から向き合わなければならないようだ。

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。