2017-0816-man2564
万葉短歌2564 ぬばたまの2376
ぬばたまの 妹が黒髪 今夜もか
我がなき床に 靡けて寝らむ ○
2376 万葉短歌2564 ShuF225 2017-0816-man2564
□ぬばたまの いもがくろかみ こよひもか
わがなきとこに なびけてぬらむ
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第48首。男。
【原文】11-2564 夜干玉之 妹之黒髪 今夜毛加 吾無床尓 靡而宿良武 作者未詳
2017-0816-man2564
万葉短歌2564 ぬばたまの2376
ぬばたまの 妹が黒髪 今夜もか
我がなき床に 靡けて寝らむ ○
2376 万葉短歌2564 ShuF225 2017-0816-man2564
□ぬばたまの いもがくろかみ こよひもか
わがなきとこに なびけてぬらむ
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第48首。男。
【原文】11-2564 夜干玉之 妹之黒髪 今夜毛加 吾無床尓 靡而宿良武 作者未詳
2017-0815-man2563
万葉短歌2563 人目守る2375
人目守る 君がまにまに 我れさへに
早く起きつつ 裳の裾濡れぬ ○
2375 万葉短歌2563 ShuF225 2017-0815-man2563
□ひとめもる きみがまにまに われさへに
はやくおきつつ ものすそぬれぬ
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第47首。女。
【訓注】人目(ひとめ=他眼)。まにまに(随尓)。早く起きつつ(はやくおきつつ=夙興乍)。
2017-0814-man2562
万葉短歌2562 里人の2374
里人の 言寄せ妻の 荒垣の
外にや我が見む 憎くあらなくに ○
2374 万葉短歌2562 ShuF223 2017-0814-man2562
□さとびとの ことよせづまの あらかきの
よそにやあがみむ にくくあらなくに
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第46首。男。
【訓注】言寄せ妻(ことよせづま=言縁妻)。
2017-0813-man2561
万葉短歌2561 人言の2373
人言の 繁き間守りて 逢ふともや
なほ我が上に 言の繁けむ ○
2373 万葉短歌2561 ShuF223 2017-0813-man2561
□ひとごとの しげきまもりて あふともや
なほわがうへに ことのしげけむ
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第45首。女。
【訓注】人言(ひとごと=人事)。
2017-0812-man2560
万葉短歌2560 人もなき2372
人もなき 古りにし里に ある人を
めぐくや君が 恋に死なする ○
2372 万葉短歌2560 ShuF223 2017-0812-man2560
□ひともなき ふりにしさとに あるひとを
めぐくやきみが こひにしなする
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第44首。女。
【訓注】古りにし里(ふりにしさと=古郷)。めぐくや(愍久也)[05-0800(長歌)妻子美礼婆 米具斯宇都久志(めこみれば めぐしうつくし)]。
2017-0811-man2559
万葉短歌2559 昨日見て2371
昨日見て 今日こそ隔て 我妹子が
ここだく継ぎて 見まく欲しきも ○
2371 万葉短歌2559 ShuF219 2017-0811-man2559
□きのふみて けふこそへだて わぎもこが
ここだくつぎて みまくほしきも
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第43首。男。
【訓注】隔て(へだて=間)。我妹子(わぎもこ=吾妹児)。ここだく(幾許)。
2017-0810-man2558
万葉短歌2558 愛しと2370
愛しと 思へりけらし な忘れと
結びし紐の 解くらく思へば ○
2370 万葉短歌2558 ShuF219 2017-0810-man2558
□うつくしと おもへりけらし なわすれと
むすびしひもの とくらくおもへば
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第42首。女。
【訓注】愛しと(うつくしと=愛等)。解くらく思へば(とくらくおもへば=解楽念者)。
2017-0809-man2557
万葉短歌2557 たらちねの2369
たらちねの 母に申さば 君も我れも
逢ふとはなしに 年ぞ経ぬべき ○
2369 万葉短歌2557 ShuF219 2017-0809-man2557
□たらちねの ははにまをさば きみもあれも
あふとはなしに としぞへぬべき
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第41首。女。
【訓注】たらちねの(垂乳根乃)。申さば(まをさば=白者)。君も我れも(きみもあれも=公毛余毛)。年ぞ経ぬべき(としぞへぬべき=年可経)。
2017-0808-man2556
万葉短歌2556 玉垂の2368
玉垂の 小簾の垂簾を 行きかちに
寐は寝さずとも 君は通はせ ○
2368 万葉短歌2556 ShuF219 2017-0808-man2556
□たまだれの をすのたれすを ゆきかちに
いはなさずとも きみはかよはせ
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第40首。女。
【訓注】小簾の垂簾(をすのすだれ=小簀之垂簾)。寐は寝さず(いはなさず=寐者不眠)[下記注]。
【編者注-不眠】「なさず」。この表記・訓はここだけ。02-0222枕等巻而 奈世流君香聞(まくらとまきて きいとなせるかも)。なお、「いねず」訓は、10-2050不宿、12-3094不宿。
【編者注-寝(な)す】二義あり。自サ四(この歌)は、動詞「寝(ぬ)」の未然形+上代尊敬助動詞「す」=「ねす」。おやすみになる。他サ四は、寝させる。[『詳説古語辞典』要約]
2017-0807-man2555
万葉短歌2555 朝戸を2367
朝戸を 早くな開けそ あぢさはふ
目が欲る君が 今夜来ませる ○
2367 万葉短歌2555 ShuF219 2017-0807-man2555
□あさとを はやくなあけそ あぢさはふ
めがほるきみが こよひきませる
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第39首。女。
【訓注】朝戸(あさと=旦戸)。あぢさはふ(味沢相)[02-0196(長歌)味沢相 目辞毛絶奴(あぢさはふ めこともたえぬ)、06-0942(長歌)味沢相 妹目不数見而(あぢさはふ いもがめかれて)、など]。
2017-0806-man2554
万葉短歌2554 相見ては2366
相見ては 面隠さゆる ものからに
継ぎて見まくの 欲しき君かも ○
2366 万葉短歌2554 ShuF219 2017-0806-man2554
□あひみては おもかくさゆる ものからに
つぎてみまくの ほしききみかも
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第38首。女。
【訓注】相見ては(あひみては=対面者)「「対面」表記はここだけ」。面隠さゆる(おもかくさゆる=面隠流)[下記注]。
【編者注-ゆる/ゆ】受身・可能・自発の助動詞「ゆ」の連体形。/「知る」「忘る」などの限られた動詞の未然形に付き、自発・受身・可能の意を表す。尊敬の意はない。活用=下二段型。え・え・ゆ・ゆる・ゆれ・○。[『詳説古語辞典』]
2017-0805-man2553
万葉短歌2553 夢のみに2365
夢のみに 見てすらここだ 恋ふる我は
うつつに見てば ましていかにあらむ ○
2365 万葉短歌2553 ShuF215 2017-0805-man2553
□いめのみに みてすらここだ こふるあは
うつつにみてば ましていかにあらむ
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第37首。男。
【訓注】夢のみに(いめのみに=夢耳)。ここだ(幾許)。我(あ=吾)。うつつに(寤)。
2017-0804-man2552
万葉短歌2552 心には2364
心には 千重しくしくに 思へども
使を遣らむ すべの知らなく ○
2364 万葉短歌2552 ShuF215 2017-0804-man2552
□こころには ちへしくしくに おもへども
つかひをやらむ すべのしらなく
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第36首。男。
【原文】11-2552 情者 千遍敷及 雖念 使乎将遣 為便之不知久 作者未詳
2017-0803-man2551
万葉短歌2551 思ひにし2363
思ひにし あまりにしかば すべをなみ
出でてぞ行きし その門を見に ○
2363 万葉短歌2551 ShuF215 2017-0803-man2551
□おもひにし あまりにしかば すべをなみ
いでてぞゆきし そのかどをみに
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第35首。男。
【訓注】思ひにし(おもひにし=念之)。すべをなみ(為便無三)。
2017-0802-man2550
万葉短歌2550 立ちて思ひ2362
立ちて思ひ 居てもぞ思ふ 紅の
赤裳裾引き 去にし姿を ○
2362 万葉短歌2550 ShuF215 2017-0802-man2550
□たちておもひ ゐてもぞおもふ くれなゐの
あかもすそひき いにしすがたを
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第34首。男。
【編者注-すがた】原文「儀」。02-0158山振之 立儀足(やまぶきの たちよそひたる)、02-0229沈之 妹之光儀乎(しずみにし いもがすがたを)、05-0853(長歌)花容無双 光儀無匹(くゎようならびなく くゎうぎたぐひなし)、08-1622今毛見師香 妹之光儀乎(いまもみてしか いもがすがたを)、ほか。
【編者注-裳裾】「もすそ」。ここでの原文は、「裳下」。その出現か所は、07-1274(旋)未通女等 赤裳下(をとめらが あかものすその)、11-2357(旋)出乍吾毛 裳下閏奈(いでつつわれも もすそぬらさな)、ほか。
【原文】11-2550 立念 居毛曽念 紅之 赤裳下引 去之儀乎 作者未詳