ひとりよがり。

日々のことや思い出などを書きます。
個人的な覚え書き、日記のようなブログです。

野ネズミの絵本のこと

2020-09-02 22:03:00 | 日記
二匹の野ネズミが主人公のその絵本はもう半世紀前から
実家にありました。

二匹の野ネズミが
大きなたまごを拾って
そのたまごを割って
大きなカステラを焼き
森の仲間と一緒に仲良く
食べる、、というお話です。

その絵本の裏表紙には
厚生省の推薦図書と印刷されています。

私は子どもの頃から
その野ネズミたちが
なぜか
あまり好きではありませんでした。

妹が幼稚園で
その野ネズミたちの歌を歌っているのを
少し冷めた目で見ていました。

私が大人になり
実家を出た時
その絵本を持ってきました。

長女が
生まれてから
私はその絵本を読み聞かせしました。
でも
なぜ
私はこの可愛い野ネズミたちが
好きになれないのか
はっきりわからないまま
長女に読みました。

そして
数年経って
長男が生まれた時も
その絵本を読み聞かせしました。

そして
やっと
なぜこの絵本が好きになれないのか
はっきりわかりました。


その頃
幼稚園の年中だった長男に
聞いてみました。

「どうして野ネズミくんたちは
落ちていたたまごを食べちゃったのかなぁ?」

すると
長男は
「スーパーで売ってるただのたまごと思ったんでしょ」と答えました。

「ただのたまご」

つまり
命のないたまご。
食品としてのたまご。

まだ4、5年しか生きていない子どもが
命のあるたまごと
食品としてのたまごの
区別がつくことに
私はおどろきました。

野ネズミくんたちも
きっと
食品としてのたまごだと思ったから
怖れもなく
迷いもなく
すぐに
「お月さまぐらいの目玉焼きができる」と
考えたのかもしれません。

自分たちより大きなたまごを目の前にして

誰が産んだたまごかな?

どんな赤ちゃんが生まれてくるのかな?

なんて考えもしなかった。


そのたまごの中に
新しい命が育っていることなんて
想像もしなかったのだと思う。

そして
私自身も
そのたまごのお母さんのことや
どんな赤ちゃんが生まれてくるのかな、なんて
考えもせずに
この絵本を
数十年も
読んでいたのです。

森の仲間たちも
この大きなたまごを産んだのは
仲間だとは思っていないようだし
たまごを割って作ったカステラを
とても
美味しそうに
食べています。

そして
野ネズミくんたちは
そのたまごの殻で
車を作り
乗り回します。

もしも
たまごを産んだお母さんが
その光景を見たら

本当に悲しむと思います。


このお話は
国が推薦した絵本ですが



私の持っている絵本の中で
もっとも
悲しいお話です。