工業化された農業

『工業化された農業の可能性について』
一般の農家さんよりも企業さんが行う方がわかりやすいです。しかしそれには、それなりの栽培技術は必要です。
一般の農家さんは、“気合いと根性”で企業さんには出来ない24時間管理体制が取れます。
というのは農業は朝一番が8時や9時ではありません、もっと早いし、日中30℃を越えると仕事になりません。 そんな時はラテン系の民族のようにお昼寝もします。すなわち24時間といっても、その中身は植物や動物が主体だということです。
農家さんも知恵を絞りスケジュール管理をして、繁閑に合わせた人員体制をとります。
栽培ノウハウが数値化され“見える化”が出来てくるとやっと企業参入が可能となり、比較的コストコントロールも容易くなります。このコストコントロールはやはり企業さんの方が得意とする分野です。
次の問題は収量が上がるとマーケットのサイズ次第で価格が下落するという自体に陥ります。ここで大切なのが、どの時期にどの量が適切なのかを分析することと、常に販路を開拓し続ける努力をすることです。
付加価値をつける努力も大切ですが、付加価値がついたことで更にマーケットが限定される怖れも生じます。
そう考えるとあまり規模の拡大をしない戦術で栽培技術を持った農家さんがある特定のマーケットをターゲットに生活者と共に“農”を愉しむというのが近未来のあるべき豊かな次世代農業なのではないかと思うに至るのです。
工業化された農業は、大量消費時代の24時間3交替の工場のようにすることも可能ですが、その暮らしは決して“豊かな”とは言えないですし、工業製品のように単純な量産は安定した販売価格の維持ではなく、圧倒的な価格の下落を呼び、他社との競合は利益率の急激な低下を招くでしょう。