やれほれ。
冬? になったと思うんだけど、
出張に出てそういえばここんところ
なんだか視界が広くなったような、
世の中が広くなったような気になってたんだけど、
理由がわかったさ。。
季節が変わって木の葉っぱが落ちたせいで、
今まで目隠しされたところが見えるようになったんだわ。
ふむふむ。
だからって雪が積もっちゃうと、
別な意味でまた目隠しされちゃうんだけどね。
今だけなのかもしれない。
けど、白く染まるって、それはそれで見栄えはいいよね。
雪と寒さ以外はXXX
やれほれ。
冬? になったと思うんだけど、
出張に出てそういえばここんところ
なんだか視界が広くなったような、
世の中が広くなったような気になってたんだけど、
理由がわかったさ。。
季節が変わって木の葉っぱが落ちたせいで、
今まで目隠しされたところが見えるようになったんだわ。
ふむふむ。
だからって雪が積もっちゃうと、
別な意味でまた目隠しされちゃうんだけどね。
今だけなのかもしれない。
けど、白く染まるって、それはそれで見栄えはいいよね。
雪と寒さ以外はXXX
五人は、マコトが持ったラジオを聞きながら、山を越える真っ直ぐな道を進んでいた。
永遠に続くような道を歩いていると、次第に列の距離が広がり、時には縮まることもあったが、ややもすれば、お互いの気持ちまでばらばらになってしまいそうだった。
「みんな、大丈夫か?」
と、立ち止まったジローが、振り返って言った。
「なんでそんなに足が速いのさ」と、額に汗を浮かべたマコトが、ふくれたように言った。「――ほんとに、ロボットなんじゃないの」
と、ジローの後ろを歩いていたサオリが、マコトの所まで駆け足で戻って来た。
「遅いよ。マコト」と、元気なサオリは、マコトの手を引いて引っ張ろうとした。
「――いいってば。自分で歩くよ」と、マコトは恥ずかしそうに手を引っこめた。
「少し休もうか」と、先頭を歩いていたグレイが、引き返してきて言った。「峠を越えるにはまだもう少しかかりそうだから、ここいらで休んでおいた方がいいよ」
「そうだな」と、涼しげな顔をしているグレイを見ながら、ジローは感心したように言った。「グレイは平気なのか」
「うん」と、グレイは言った。「月は出ていないけど――じゃない。なんだかとっても、いつになく調子がいいんだ」
と、サオリの背中に止まっていたアオが、ぐるりと大きく頭上を飛んで、またサオリの背中に止まった。
「ぼくも、へっちゃらだって」と、グレイがアオの代わりに言った。
「そりゃそうだよ。空が飛べるんだから――」
アオが羽根の奥にしまった木刀を取り出そうとする仕草をすると、マコトはあわてて先を歩き出した。
「ぼくだって、まだまだ歩けるさ」
「おいおい。あんまり無理はするなって――」と、ジローは困ったように言った。
と、マコトの持っているラジオが、急に激しい曲を流し始めた。
びっくりしたマコトが足を止め、ポケットからラジオを取り出すと、みんなも周りに集まって来て、ラジオの放送に耳をそばだてた。
“麓の町を出ようとした旅人が、青い鎧を軋らせて山道を登っていく騎士の姿を見たんだって……”と、エスが曲を中断して言った。“旅人はすぐに回れ右をして町に戻ったけれど、町に入る直前で振り返ると、また別の騎士が山道を登っていくのを見たんだって。希望の町を目指しているみんなは、気をつけて”
「どうしよう。青騎士がそこまで来てるみたいだ」と、マコトが不安そうに言った。
5 城に続く道
「なにそれ」と、きょとんとした顔をして、マコトは言った。「人間じゃないって、じゃあなんなの?」
グレイは急いで口を閉じ、パチパチとまばたきをすると、おどおどして言った。
「――いや、なんでもないよ。人間じゃないなんて、おかしいよね」
ははは……と、面白くなさそうに笑うグレイを不審な表情で見ながら、マコトも困ったように笑い返した。
「ははは。なんか変だね、グレイって」と、マコトはジローを見たが、ジローは黙って、伏し目がちになにかを考えているようだった。
「そうだ。サオリが言ってたけど」と、グレイは急に顔を上げて言った。「アオがどこにいってたか、訊いてたよね。みんながおいしそうに料理を食べてたんで、川に魚を捕りに行ってたんだって」
と、サオリが驚いたように言った。
「アオって、お魚が食べられるの?」
「そりゃそうさ」と、マコトは言った。「アオはカワセミっていう鳥だもん。魚は食べられるけど、ぼくらみたいに料理は食べないよ」
と、アオが不機嫌そうに小さく鳴いた。
「――いや、料理は食べないと思うんだ」と、マコトはあわてて言い直すと、助けを求めるようにグレイを見た。
「料理も、食べられる? みたいだね……」と、グレイはアオの機嫌をうかがいながら言った。「で、川に行って魚を探したけれど、食べられそうな魚は見つからなかったって。だから、しばらくみんなと離れていたらしいよ」
「ふーん」と、マコトは言った。「じゃあ、なにも食べられなかったの?」
グレイはアオの方を向くと、コクリとうなずいて言った。
「虫は苦手だけど、お腹がすいたから、いっぱい食べたって。木刀を振るくらい、朝飯前だってさ」
「――ボクトウって?」
と、言ったグレイが首を傾げると、アオが翼の中にくちばしを差し入れ、さっと長い木の棒を取り出した。
「うわっ、なにそれ。帰って来た時はよく見なかったけど、どこから持ってきたのさ」と、マコトが顔をしかめて言った。「前のより痛そうだ――」
グレイも渋い顔をして、大きくうなずいた。
「さぁ、そろそろ行こう」と、ジローは言った。「町の人達によれば、“希望の町”までは一日もあれば到着するらしい。グレイも、一緒に来るだろ――」
「うん」と、グレイはうれしそうに言った。
――――……