佛大の科目で推薦のあった中公新書である。
歴史家の問いとは、歴史家の問題意識、あるいは当該歴史家が依拠すべきと考える理論によるもの、といっても良いようである。この本は、近現代史がどのように描かれ、修正されてきたかをたどっている。
時々の政治・社会状況の影響(政治的な強制ではない)を受けた近現代史の解釈の経過である。
特定の主義にもとづく歴史事象の位置付け、後世の事象に対する分析を前時代にあてはめること。史料集約、分析が重視され、それを駆使する段階となっても、解釈においては、歴史家の問いが根底にあり、その相違により、時代像が大きく揺らいでゆく。
証明したいものがあって、歴史を学ぶ。