卒論の草稿が無事通過したので、振り返り記録を書いておこうと思う。
入学した年の8月には演習 Ⅰ を受講したので、この頃までにはテーマを漠然と決め、資料も集め始めていた。
問題は論文の書き方で、遠い昔の学生時代には、学部柄、卒論が求められていなかった。奈良大の課外で卒論の作り方についての説明会はあったが、自分でも整理しておかなければならず、これに役に立ったと思われる本が、『論文の書き方』『論文のレトリック』(いずれも講談社学術文庫)。資料探し、論文の構成・配置、書くための読み方から整理、まとめ方、書き方などの概要がわかりやすく書かれている。ただ、実際に論文を作成するにには、how to本も必要で、『論文・レポートの基本』(日本実業出版社)を使った。構成、推量・当為の文末表現、副詞・接続助詞のNGワードと書き換え、接続詞の使い方、文脈指示、文のつなぎ、あいまいさの回避、読点を打つ基本、漢字と仮名の書き分けなど細かいきまりがまとめられており、これをA42枚の一覧表にして整理したが、その表をワードで打ち込んでいるうちに覚えられる程度のものだった。日本人ですから。実際に論文を書き、推敲段階になると、「思われる、考えられる」だらけの論文にしないことや、書きぶりを統一しなければならず、それには結局、先行研究の論文を模倣することが早道で、またこれらは学部、学問の系統により随分違うように思う。
論文で論じるうえで、論理が一貫していなければならないことはもちろんとしても、その論理があまりな妄想になってもいけないので(多少は許されると思うが)、そのためには先行研究のまとめは重要。演習の先生によっては、「周辺研究がまとめられていれば卒論は合格」とか、「先行研究を検討しこれに同意するでもよい。実証が大切であり、添付の現地写真や資料の厚さで点数を決める」などの説明もあったが、そうはいいながら、せっかくなので自分の考えをまとめてみたいと書いているうちには思う。論文は弥生時代をテーマにして書いたが、いくら証拠不十分の弥生時代とはいえ妄想に終始しても残念なので、先行研究を前提に、考えの組み立てを行った。
草稿返却時の講評で一番うれしかったのが、「興味深いテーマです」と書いていただいたこと。初志貫徹してよかったと思っている。