1人で過ごすことのできる時間が増えると、自分を振り返るようになる。するとあまりいいことを思い出さない。
苦しかったときの思い返しが続くのだ。それはそれでプラスに転化することも可能なのだが。心のバランスを崩すのは、そのような状態を悪化させることによるのかも知れない。
悪循環に陥らないよう、いい加減に打ち切らなければと思いつつ、ふと、
サラリーマン時代、とんでもなく素晴らしい上司がおられたことを思い出した。
ちょうど今、半沢直樹に出てくる中野渡頭取のイメージにそっくり重なるような人だった。気さくで信頼の塊りのような。
その方はやはり勤め先の会長にまでなられたが、お会いした時は支社長で、私はその遥か下、直属の中間管理職だった。
そんな方が、どうして私のことを長く気にかけてくださったのか、今も分からない。
その人の座右の銘は
"ネアカ生き生きへこたれず"
だった。
一昨年お亡くなりになり、最後にお会いしたのは空港だった。
私はあの方にお会いできた。そして、そうした方がいらっしゃることを知ることができた。それだけで、私の人生は確かなものだったと、思っても良い。
もう1人の時間は、いい加減にしておこう。