中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第5回紬塾「運針で何かを縫う」

2024年10月11日 | 紬塾’21~’24

現代社会においては「運針」のできる方もわずかになりました。
その運針を身につけ、家にある古布から何かを縫っていただくという課題を出しました。

古い服も着物も、古布というものが家にない方がほとんどで、かなり悩まれたように思います。
どう見てもこの回は乗り気ではなかったと思います。。(-“-)

こちらで新しい布を用意して、麻の伊達締めを縫うほうが私も楽と言えば楽なのですが、今回はじっと我慢で各自に考え抜いてもらいました。

結果、いただきものの手ぬぐい2本を接ぎ合わせ、バッグ用の保管袋を縫う人、晒の布巾の端を三つ折りにして縫う人、草木染の小さな麻生地で花瓶敷のようなものを縫う人、七五三で使った「しごき」を使って腰紐を縫う方、ショートパンツの形を生かして袋物にリメイクする方、家にあった麻生地を丈を接いで伊達締めを縫う方、様々でした。

運針も完璧ではないものの、なんとか形になったと思います。  
でも終わって感想を聞くとみなさん工夫することや、運針の楽しみも発見してくれたようで、家でまたやりたいとおっしゃる方もあり、やってよかったです。

大きな裂から何かを縫うという発想だけではなく、接ぐことの良さを知ってもらいたいのです。
同じ布が足りなければ、異なる布を接ぎ合わせれば、そこから「取り合わせ」、というものが始まります。「継ぎの美」です。

買えばいくらでも良いものがある時代ですが、自分で手縫いしたものを身近で使うのはこころも安らぎ良いものです。
今まで紬塾の方々を見てきて、かなり頭が固くなっているように思いました。
創意工夫は着物を着るうえでも、とても大事なのではないでしょうか?

布の思い出というものがあります。赤ちゃんのおしめに始まり、布なしに人は生きられません。たくさんの布を纏ってきました。
布への関心、布を大切にすることを深めたいですね。
紬塾の「とことん着る」と、この「運針で…」の回はセットなのです。

そして、運針の針目は不思議に魅力のあるものです。
今後も続けてもらえたら嬉しいです。

この日の私の着姿は、崩し縞の単衣紬(初期の作品)に壺の文様のジャワ更紗、鉄納戸色の帯締めを合わせました。

更紗は、ずっと以前に更紗の展示会で生地を見つけたのですが、接ぎ合わせ、足し布をしても、長さ9尺2寸しか取れませんでした。


でもこんな結びならできました。



受講生からお庭の秋草をいただきました。
塾終了後に、サクッと床の間に活けました。


イトススキ、シラハギ、ミズヒキソウ、フジバカマ・・。
花器は升たか作です。


小さな草花は棚の上にも飾りました。

写真がピンボケですが…、野草は大好きです!
お庭に草花が沢山あっていいですね、うれしい贈り物でした。

次回は11月の「日本の取り合わせ」です。



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