ブログ・クロウキョウ

文京の働く愉快な仲間たち

臨界幻想

2012年05月26日 17時56分39秒 | レポート
 5月25日(金)の夜、新宿・紀伊國屋サザンシアターで劇団青年劇場
「臨界幻想2011」公演の文京観劇会を開き23名が参加しました。
 この作品は30年前、近未来に原発事故の危険性を予言して作られたそうですが、
「幻想」どころかフクシマ原発爆発により「現実」のものとして、私たちに
衝撃を与えました。
 原発企業に働く26歳の青年が病院のベッドで“死んだ”ところから舞台は始まり
病名は“心臓病”と告げられ、母親も、恋人もあきらめていました。
 そこへ「死が原発と関係があるのでは」と被爆調査に来た人たちとのかかわりの中で
母親が、息子の死について疑問を持ち始め医師や会社の課長に問い詰め
自ら真相解明に立ち上がるなかで、真実があきらかになります。
 現実と過去の回想シーンが、一つの舞台で繰り広げられ、観客をひきつけます。
 観劇の途中から、涙がこぼれて、止まらなくなり、ほんとうに困りました。
 それは人の良い人間の弱さに対する悲しみと、それを利用する企業に対する怒り
だったのかもしれません。
 写真は、メーデー会場で「原発ゼロ」の手製のゼッケンつけて「臨界幻想」の
宣伝に来た時の広戸聡さん。広戸さんは30年前も原発労働者の役で出演されたそうです。
 今回は、下請け会社の所長、病の床に就く元原発労働者などで好演しました。
 お母さん役・藤木久美子さんの息子を思う母親の強さ。息子さん役・中川為久朗さん
と恋人役・大月ひろ美さんの迫真の演技。妹役・岡本有紀さんの前向きな生き方。
 原発を告発する新聞記者・清原達之さん。本当の病名を知らせる看護婦・武智香織
さんの苦しみ。18名の役者さんが、それぞれ持ち場を活かした名演技で
見ているものをくぎ付けにしたのではないでしょうか。
 とりわけ、回想シーンで、九州の炭鉱から流れて原発の下請け会社で働く役を
演じた吉村直さんの居酒屋でのコミカルな演技と民謡はなかなかのものでした。
 いずれにしても、週末の疲れを吹き飛ばすような、すばらしい作品でした。