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魚油

2015年09月09日 | 健康・病気

毎日新聞 医療プレミア  http://mainichi.jp/premier/health/entry/index.html?id=20150903med00m010005000c&fm=mnm

「健康は食から」より

魚油で生活習慣病を予防しましょう

 今回は、これら生活習慣病の予防のために、葉物野菜に加え摂取してほしい「魚」や「クルミ」などに含まれる大切な油についてお話しします。

期待されるオメガ3脂肪酸の生活習慣病予防効果

 生活習慣病と切っても切り離せない関係にあるのが、肉や魚に含まれる脂質です。食品中の脂質を構成している主な成分は脂肪酸です。ただし、主菜として献立に並ぶたんぱく質(肉、魚、卵、大豆)に含まれる脂肪酸の種類は同じではありません。それぞれが異なる種類の脂肪を含んでおり、体に与える作用も異なります。

 私たちが食事から取り入れているさまざまな種類の脂肪酸は、体内で約60兆個の細胞の膜を形成するとともに、健全な視力の維持や皮膚炎の予防をするなど幅広い働きをしています。複数ある脂肪酸のうち、健康への効果がもっとも高いのが魚油に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)です。「血液サラサラ」「頭が良くなる」として一世を風靡(ふうび)したので、ご存じの方も多いと思います。ただし、日本人の多くがDHA・EPA不足の状態です。厚生労働省では、DHAとEPAを合計1日1g取ることを推奨しています。

 DHAとEPAを多く含んでいるのは以下の魚です。

 

魚の代わりにクルミやシソ油で摂取も

 DHAとEPAは、魚が一番の供給源ですが、一部が体内でDHAやEPAに変わる脂肪酸を含んでいる食材があります。それは、クルミやシソ油(えごま油)、アマニ油などに含まれるα-リノレン酸と呼ばれる脂肪酸で、魚油由来のDHA、EPAと合わせて「オメガ3脂肪酸」と呼ばれています。

 オメガ3脂肪酸が冠動脈疾患や不整脈、心不全、脳卒中の再発予防に有効であることは、全国11保健所と国立がんセンターなどの共同研究(JPHC Study)によって報告されています。日本人を対象にした研究では、DHAとEPAを1日合計0.9g摂取していると、非致死性心筋梗塞が減少することが分かっています。また、加齢により網膜に障害が生じる目の病気「加齢黄斑(おうはん)変性症」については、週3回魚を食べている人は月に1回程度しか食べない人に比べて発症リスクが減少することが報告されています。

 オメガ3脂肪酸は人の体では作り出せない「必須脂肪酸」のため、生活習慣病予防効果を得るには、魚類やクルミ、えごま油などを意識して摂取する必要があり、食べなければその分不足してしまいます。魚が苦手という人は、α-リノレン酸を含むクルミをおやつに、またサラダや小鉢に砕いてまぶしてみたり、ドレッシングに亜麻仁油やえごま油を使ってみたりしましょう。ただし、オメガ3脂肪酸は極めて酸化に弱いという弱点があるので、間違っても加熱調理には使わないよう注意してください。油は酸化すると健康に悪影響な物質に変わってしまいます。酸素・光・熱は、油にとって3大脅威です。ふたが開けっぱなしの状態で日差しが注ぐキッチンの窓辺に油の容器を置いていたら、酸化がぐんぐん進みますので、取り扱いに注意が必要です。

 なお、食事から摂取したDHAとEPAの量と、血中DHA・血中EPAレベルの関係を調査した研究報告によると、EPAの摂取量と赤血球の細胞膜に含まれるEPAは食事に強い影響を受けていることが明らかになりました。一方、DHAはEPAに比べて食事の影響が弱くなっています。これはα-リノレン酸が体内でEPAとDHAに変換されるまでの時間や変換率が影響していると考察されています。

 

食べていても、DHA、EPAが不足する人がいる!?

 シソやくるみから摂取したα-リノレン酸は体内でまずEPAに変換され、中間生成物のDPA(ドコサペンタエン酸)を経てDHAになります。しかし、全ての人が体内でα-リノレン酸をDHAやEPAに変換できるわけではないことが明らかになってきました。

 α-リノレン酸からDHAに変換する過程で必要な酵素の遺伝子の一部に変異がある人の場合、酵素の活性が低いため変換が進みにくくなることが分かっています。また、2万人の日本人を対象に、自治医科大学の中山一大氏が女子栄養大学などと実施した研究によると、こうした遺伝子変異がある人には、中性脂肪の上昇およびHDLコレステロール(善玉コレステロール)の低下傾向が認められるという結果が出ています。

 つまり、α-リノレン酸からEPA・DHAに変換しにくい人たちは、生活習慣病の発症リスクが他の人より高い可能性があり、変換できる人よりも多くのDHAとEPAを必要とするのです。また、α-リノレン酸からのDHAやEPAへの変換率はそれほど高くありません。心筋梗塞や脳梗塞・狭心症などの生活習慣病が多い家系では、DHAとEPAを直接摂取できる魚を、意識して多く食べることをおすすめします。

 

サプリメントはその質に注意を

 では、DHAやEPAをサプリメントで摂取するのは効果があるでしょうか。米国で約1万9000人を対象に7年間追跡した前立腺がん予防研究では、DHAサプリメントの摂取は前立腺がんリスクを2.5倍高めたという報告があります。一方では、それを否定する研究も複数あり、現段階で結果は一致していません。

 魚油由来のDHAやEPAには今のところ副作用は報告されてはいません。しかし、魚の脂肪分には水銀やカドミウムなどの汚染物質が含まれていることがあり、それがサプリメントにも含まれている場合は別のリスクが高まります。DHAやEPAのサプリメントの購入を検討する場合は、メーカーの汚染除去技術や酸化を抑制する加工方法を採用しているかなど、厳しくチェックしましょう。