里の家ファーム

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潔く投了すべし

2017年07月07日 | 社会・経済

潔く投了すべき 安倍首相に
 「初心」に帰られても困るのだ

  

     日刊ゲンダイ2017年7月7日

 

 それにしてもブザマな結果となった。先の東京都議選で自民党は改選前の57議席から半分以上も減らし、過去最低の38議席をさらに15議席も下回って、わずか23議席にとどまった。

  歴史的な大敗北を受け、メディアは「自民惨敗」と伝えたが、有権者が突き付けたのは「安倍やめろ」という政権への退陣勧告だ。この一点こそが、自民惨敗の形でハッキリと示した都民の要求なのである。

  選挙期間中も「おごれる政権」からは失言、暴言、金銭スキャンダルが続出。身内の中谷元前防衛相でさえ、「THIS IS 大打撃」と皮肉っていた。

  Tは秘書への「このハゲーッ!」パワハラ暴行の豊田真由子衆院議員、Hは加計学園「官邸は絶対やる」文書疑惑の萩生田光一官房副長官、Iは自衛隊政治利用発言の稲田朋美防衛相、Sは加計学園からのヤミ献金疑惑の下村博文都連会長を指す。加えて、また“魔の2回生”である金子恵美総務政務官のスキャンダルが飛び出した。自分の子供の保育園送迎に公用車を私的利用していたというのだ。

 とにかく安倍政権の乱れようには開いた口がふさがらない。「タガが外れた」という言葉では言い尽くせないほどのありさまである。最側近といわれる安倍首相の「お友達」の失態や、魔の2回生ら安倍チルドレンの暴走も、本をただせば「1強体制」にあぐらをかいた安倍政権のおごりたかぶりに突き当たる。

  明らかにツケ上がった政治姿勢が有権者の反感を喚起させ、都議選の自民惨敗を招いたのだ。つまりは自業自得というものである。

 歴史的な大惨敗を受け、安倍首相は「深く反省し、初心に立ち返る」旨を語っていたが、思い違いも甚だしい。有権者は「安倍やめろ」と退陣勧告を突き付けているのであって、いくら口先だけの反省で取り繕おうとしてもムダである。ましてや、初心に立ち返ってイチから政権運営を始めるような発言はもってのほかだ。有権者にとっては迷惑この上ない。

 新たな経済政策を打ち出すサプライズで、国民の目をそらそうとしても、黒田日銀のマイナス金利導入の“禁じ手”を最後に、もはや打つ手なし。経済政策は完全に行き詰まっている。まさか、アベノミクスの「新々第3の矢」を放つわけにもいくまい。仮に第3段目の矢を放たれたら、この国の経済に新たな混乱を引き起こすだけだ。非常に困ったことになる。

  これだけ明白に有権者から退陣要求を突き付けられた政権は、もはや死んだのと同然である。もう安倍首相も悪あがきはやめることだ。14歳の藤井聡太四段を見習い、居住まいを正してから「参りました」と投了すべきだ。内閣総辞職しか残された道はないのである

高橋乗宣エコノミスト

 1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。