ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

桜はそっと伝えてくれた

2021-02-13 17:07:07 | 
幸せが詰まった財布を川に落としてしまった
流されていく財布を僕は必死に追いかける
けれども、それは姿を消した

後日、財布は発見されたが、幸せは死んでいた
喪服の僕は震えが止まらず
そんなものは必要ないと小さく口にする
幸せなんてつまらない
僕は喪失感に苛まれながら、強がるほかはなかった

川沿いの桜は暖かさに屈したように咲いていた
何日か前まで怒りに震えたように強く握り締められていた蕾が
緩やかにほどけている

桜が僕にそっと伝えてくれた
一瞬でも、凛々しく咲いた時があればそれでいいのだと
 

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