「仏の教えははるか遠くにあるわけじゃない。
それは心の中にあって、ごく近いものなのだ。
真理は外の世界にあるわけじゃない。
自分以外のどこに求めようというのか」
「もし仏の深い意味を
知りたいなら、あなたの心の中にその仏はいらっしゃる。
答えはすでにあなたの
中にあるのだ」
(空海が最澄(さいちょう)に出した手紙より)
この空海の言葉の「仏の教え」「仏」という語を「幸せ」に置き換えて読んでください。
空海は仏法を説くことは、人の幸福を説くことと述べていると思います。大事な探し物は、ごく身近なところにあり、気づかないだけだ。
『幸せはあなたの心の
中にある』と説いているのです。
忘れないようにしたい教えだと思います。
今日は男女の恋についてお話しします。
紫式部の娘の和歌を紹介します。
大弐三位藤原賢子(だいにのさんみ/ふじわらのけんし)です。
父を3歳で亡くし、母を(紫式部40歳で没)15歳で亡くし、2度の結婚で80歳の長寿まで、幸せに生きたと記録されています。
百人一首にもある和歌を紹介したいと思います。
仲のたえかけた彼からの不信の手紙に、応えた和歌に
『有馬山
いなの笹原
風吹けば
いでそよ人を
忘れやはする』
有馬山から猪名(いな)にかけて風が吹くと、有ってないような 笹葉もそよそよと揺らぎます。
さあそれですよ、私の方こそあなたの心変わりが不安なのですから、どうしてあなたのことを忘れたりなどするものでしょうか。
あなたこそ、私によそよそしいではありませんか。
その間柄が分かるような気がします。
お互いに連絡が途絶えると不信がつのるものです。
現代でもありそうですね。
今のように気持ちを伝える手段がないからなおさらですね。
このような返事を何度も何度も読んで安心していたのでしょうね。
だからこんな情熱的な歌を書いたのでしょう。
若くして両親を亡くし、よくぞ頑張って生きたものだと興味深く読んでいました。
恋しい人からの便りが少ないと不安になるものですね。