とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

『めうしのジャスミン』 さく・え ロジャー・デュボアザン やく 乾侑美子

2008年01月04日 08時10分15秒 | 児童文学(絵本もふくむ)
(私注: 一読して、すごいと思った絵本です。)

    要約 (”は引用しるし)

 ”「あら、なにかしら。あそこにあるのは」”

 めうしのジャスミンは、農場の裏庭で鳥が死んでいるような変なものをみつけます。
 ジャスミンは、つのの先で、そっとおしてみたら、”つのをすーっととおりぬけ
、鳥のようなものは、ジャスミンの頭にすっぽりかぶさってしまいました。”

 ジャスミンは、いったい、なんなのかと、池の水にうつしてみました。
それは、羽かざりのついた ぼうしで、ジャスミンは、とても気に入り、”いくらみても、みあきないほどでした。” とても、にあうと思いました。

 ぼうしをかぶって農場にかえってきたジャスミンを見て、ほかの動物たちは、どんなに笑ったことでしょう。

 ”「ジャスミン 気がおかしくなったの?とっても まがぬけてみえるよ」”

「ジャスミン、お願い」ひつじのローズがいいました。「自分だけ、みんなとちがっているのは、いやでしょう?」

”「あなたは あなたのおもうように すればいいのよ」と、ジャスミンはいいました。「それでいいんじゃない?わたしは、わたしのおもうようにするわ。だれでも、その人らしくすればいいのよ」”

 それからというもの、ジャスミンは、いつもぼうしをかぶって、ほこらしげに農場をあるきまわりました。”ねるときも、ぼうしをぬぎませんでした。

 おひゃくしょうの夫婦と、まごむすめのアンは、

「ジャスミンたら、すてきじゃないの。しゃれているわ。とてもにあうわ」
農場の納屋につんでおいた古いぼうしが、ひとつ、ころがりおちたようなのです。

 ”動物たちは、ぼうしをかぶったジャスミンが気になってしかたがありません。”

”「なかまとちがうことをしたがる めうしなんて、あたし、すきじゃないわ。ろくなめうしじゃないもの」と、めうしのクローバーがいいました。”

 「自分のほうがえらいとおもっているのね。」「病気よ。」「うぬぼれているのよ。」
”だれもかれも、こんなふうでした。でも、ジャスミンは、いつもぼうしをかぶり、とてもきにいっていました。”

 ”「いいぞ、ジャスミン」といったのは、ねこのコットンです。”
”「いつもいうように、人それぞれ、さ。そうするには、勇気がいる。ジャスミンには、その勇気があるよ」”

 どうぶつたちは、あつまって、協議しはじめました。昔は、うまは麦わらぼうしをかぶっていた。動物がぼうしをかぶるのも、そうばかなことではないかもしれない。でも、あたしは、かぶらないわ。あたしも、あたしも、と、動物たちは、声をそろえていいました。

 でも、みんな、だんだん、ぼうしをかぶりたくなってきました。ぼうしをかぶったほうが、すてきじゃないかと、思うようになってきました。

 つぎの日のこと、いぬのノイジーが、裏庭に、納屋にあるぼうしをつみあげました。動物たちは、どっとかけより、てんでにすてきなぼうしをえらび、頭にのせ、よろこんで、おどりまわりました。”それはまるで、ぼうしのお祭りのようでした。”

 その夜、ジャスミンは、昼間のできごとを、よく考えました。そして、つぎの翌朝――
”ジャスミンが、ぼうしをかぶっていないことに、最初に気がついたのは、ろばでした。”

”「みてごらん。ジャスミンがぼうしをかぶっていないよ。どうしたっていうんだろう?」”あまり、おどろいたので、あやうく羽かざりのついたぼうしを おとしそうになりました。

 ”「ジャスミンたら、また!いつでも、みんなとちがうことをしたがるのよ」”
ジャスミンがぼうしをかぶっていないというニュースは、農場じゅうに広まり、そのうわさで、もちきりになりました。

 ぼうしをかぶった動物たちは、
”「ほら、いったでしょ。みんなとちがうことをしたがるめうしなんて、ろくなめうしじゃないのよ」”
 ぼうしをかぶっていないと、ひどくまがぬけてみえる、とか、ジャスミンはめだちたがりやなのだ、とか、病気だとか、日射病でもっと病気がひどくなるとか、いろいろな意見がでました。

 でも、ジャスミンは、毎朝ぼうしをかぶらず、牧場でおいしそうに草をたべています。

”みんな、だんだん、がまんできなくなってきました。”

だれもが思いだしたことを最初に口にしたのは、がちょうのペチュニアで、
”「ほんとういうと、このぼうし、ちょっと重くなってきたのよ。ぼうしをかぶらないほうが、わたしたち、すてきにみえるんじゃないかしら?」”

 ぼうしをかぶらないのは、おぎょうぎがわるい、とか、いろいろ協議しあいました。

”「ジャシミンは、ほんとうはそうバカではなく、ぼうしをかぶって人前にでないのかもしれない」”のひとことで、みんな、ぼうしをぬぎすてました。

 ”さて、つぎの朝、動物たちがみたのは、なんだったとおもいますか?”

ジャスミンが、ぼうしをかぶり、そのすがたを水にうつして、ほれぼれとながめています。

 動物たちは、おこってしまい、”牧場にあつまって、ジャスミンをどうしてくれようかと、、相談しました。”

 ジャスミンのぼうしを、もぎとろう!もう、ふりまわされるのは、ごめんだ!まっぴらだ!

 そうだ、そうだ、と”動物たちは、声をそろえてさけびました。”

”でも、ペチュニアと、ねこのコットンは、べつでした。
「めうしでも、だれでも、自分のすきなかっこうを してはいけないってことは、ないとおもうわ」ペチュニアはいいました。
「ぼくも、そうおもう」コットンが、前足をなめながら、いいました。”

動物たちは、頭をさげ おそろしい目をして 池のほとりのジャスミンお気に入りの草場にむかいました。

 ”そうして、口々に、こんな歌をうたいました。
「ぬがせろ、ぬがせろ、ジャスミンのぼうし!ぬがせて池に、ほうりこめ!」”

 このやかましい行列は、ジャスミンをとりかこもうとおもいましたが、きゅうに静まりかえってしまいます。

”ジャスミンが、あのぼうしを頭にのせ、にっこりしているところを、おひゃくしょうさんのまごむすめのアンが、カメラにおさめようとしていたからです。おひゃくしょうさん夫婦のパンプキンさんたちもいました。

”動物たちをみると、アンがいいました。”

「そうだ。ジャスミンが動物たちにかこまれているところを写真にとろう。ジャスミンは、農場の女王さまだもの!」

”アンが、そういうのをきくと、おこっていた動物たちも、なんだか楽しくなりました。”

”アンが、ジャスミンには、ぼうしがにあうというのですから、きっとそうなのでしょう。”

 ジャスミンをまんなかに、動物たちは、写真からはみでないように、くっついてならびました。

”「さあ、わらって!」アンが声をかけました。
みんな、にっこりして――カシャ!シャッターがおりました。”動物たちは、楽しそうに農場へ帰っていきました。

”こうして、みんなとちがっていても へいきなめうし、ジャスミンは、パンプキン農場の すてきな女王さまになったのです。”

                 完
 
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