「平和実現なら辞任用意」 侵攻3年、ゼレンスキー氏会見
配信 共同通信
【キーウ共同】ロシアに侵攻されるウクライナのゼレンスキー大統領は23日、同国の平和が実現するかNATO加盟が認められれば「大統領を辞任する用意がある」と述べた。侵攻開始から24日で3年。同氏はトランプ米大統領から「選挙なしの独裁者」と非難され、権力にしがみつく考えはないと反論する狙いとみられる。 【写真】ゼレンスキー氏が語った戦争の終わり方、そして日本への感謝
首都キーウで記者会見した。ウクライナのNATO早期加盟は米国やドイツなどが否定的で可能性は極めて低く、米ロが主導する和平交渉の行方は不透明。ゼレンスキー氏は「安全保障の確保に集中する」と強調し、職務を継続する構えだ。 トランプ政権はウクライナの希少な鉱物資源を供与するよう要求しているが、ウクライナは見返りとなる安保措置が合意文書に盛り込まれていないと反発し、両政府が集中的に協議している。米側は早期に署名するよう圧力を強めており、ぎくしゃくした関係が続いている。 米政権はウクライナに対し、資源で得られる収益を使った5千億ドル規模の基金を設立して米側が所有権を持つことを提案したとされる。
ゼレンスキー大統領;画像はネットから借用
【ワシントン時事】ロシアのウクライナ侵攻から3年を前に、米ロ関係に詳しい投資家ビル・ブラウダー氏が時事通信のインタビューに応じた。トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が合意した停戦交渉開始について、「プーチン氏は今ごろ、小躍りしてシャンパンを開けていることだろう」と指摘し、「プーチン氏にとって願ってもない大勝利だ」との見方を示した。
ブラウダー氏は「(両首脳の)電話会談前は、プーチン氏は戦争犯罪人と見なされていたが、もはや孤立していない」と強調。「米ロが何も合意しなくても、プーチン政権に正当性が与えられた」と分析した。
停戦交渉の見通しについては「プーチン氏は米国の譲歩を全て受け入れるが、自ら譲歩することはない。これまでの交渉でも約束を守らなかった」と主張。その上で「最終的に米ロ関係が緊密になっても、ウクライナ戦争は続くだろう」と停戦実現を疑問視した。
欧米が制裁で凍結した約3000億ドル(約45兆円)のロシア資産のほとんどが欧州にあるとし、欧州諸国がこれを没収してウクライナ支援に充てることも提案。仮に米国の軍事支援が途切れても、「ウクライナは継続的に弾薬を確保でき、有利な交渉ができる」と訴えた。
ブラウダー氏は米国生まれで、現在は英国在住。対ロ投資家として知られたが、ビジネスパートナーの獄死事件をきっかけに、米国でロシアに対する制裁を可能とする「マグニツキー法」の制定に尽力した。欧米メディアは「プーチン氏最大の敵」と称している。
投資家ビル・ブラウダー氏