毎日新聞
スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさん(17)が20日、ベルリンでドイツのメルケル首相と約1時間半にわたって会談した。グレタさんは、気候変動を食い止める必要性を訴え、メルケル氏が積極的に行動することを促した。
この日は、グレタさんが各国政府に気候変動対策の強化を求め、学校を休んで座り込みを始めてから2年の節目で、メルケル氏が首相府にグレタさんや、同世代の欧州の環境活動家を招いた。
独政府によると、会談では2050年までに欧州連合(EU)域内の温室効果ガス排出量を「実質ゼロ」とするEUの共通目標や、石炭火力発電からの撤退などについて意見交換したという。
ドイツは7月から輪番制のEU議長国を務めており、EUは年内に30年までの温室効果ガスの削減目標引き上げを目指している。
グレタさんは会談後の記者会見で、メルケル氏の親しみやすさに言及した上で「メルケル氏には(気候変動対策を進める)大きな責任がある。そうした責任を果たす指導者となる大きな可能性もある」と述べた。
グレタさんが18年夏に始めた「気候ストライキ」は世界で数百万人が路上デモに参加する大きな運動に発展したが、新型コロナウイルスの流行に伴いオンラインでの活動が中心になっている。
新型コロナの世界的流行に伴う経済活動の停滞で、世界各国で温室効果ガスの排出量は急減している。しかし、英リーズ大などの分析によると、長期的な気候変動にはほとんど影響のないレベルで、一部のアジア諸国などの排出量はコロナ前の水準に戻りつつある。【八田浩輔、ベルリン念佛明奈】