URUK NEWS イラク情勢ニュース (転送・紹介歓迎)
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2008/03/12 (水)
[飛耳長目録 today's news list]
☆コンクリートのベールの陰で生き延びる
☆イラクを生きる女性(3) 2008/03/12
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☆★: コンクリートのベールの陰で生き延びる
イラクの婦人デー WOMEN'S DAY-IRAQ
Surviving Somehow Behind a Concrete Purdah
ダール・ジャマイルの中東速報 2008年3月6日
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** Dahr Jamail's MidEast Dispatches **
** Visit the Dahr Jamail website http://dahrjamailiraq.com **
Inter Press Service
Analysis by Dahr Jamail
アラブ世界では他のどこよりも女性が権利と自由を有していたイラクは、教育
と専門職につくことを夢見る女性にとって、ひじょうに危険な国になってしまっ
た。
かつてサダム・フセインの統治した時代は比較的に世俗的な(政教分離の)社
会制度を維持し、イラクで女性が教授、医者、政府高官などの仕事に就くのは普
通であった。だが今日のイラクでは、イスラムの厳しい掟(おきて)に順応しな
いという理由で女性たちは民兵に殺されている。
バスラ警察のジャリル・ハヌーン本部長は12月、報道陣とアラブTVの取材
に、バスラ市だけでもこの5ヶ月に40人以上の女性が殺されたと語った。
「騒がれるのを恐れて、殺されたことを家族が届けでてない犠牲者がもっと多
くいるのは確かだ」とハヌーン警視正は言った。
シーア派のバドル旅団とマフディ軍に指揮された民兵が、厳しいイスラムの戒
律を強要している。シーア派が支配するイラク政府は彼らに暗黙の了解、もしく
は直接の支持を与えていると見られている。
ここ数ヶ月、ヒジャブを着用しない女性は民兵の第一番の攻撃目標になってい
ると、バスラでもバグダッドでも住民がIPSに語っている。多くの女性が、従
わなければ殺すと脅されていると証言する。
バスラからバグダッドに避難してきた大学生ザハラ・アルワンは、さる12月
、IPSの取材に語った--「民兵が私たちに近づいてきて言うのです。ヒジャ
ブを着用し、化粧をやめなければならない、と」。
アルワンの話では、化粧をしたり、頭のてっぺんから足の先まで覆ってないで
歩いている女性に対する警告が、バスラ中の壁に赤い文字で落書きされている。
バグダッド大学で社会学を研究しているマジン・アブドル・ジャッバルは、「
バグダッドの状況もたいして違わない」とIPSに話した。「すべての大学がイ
スラム系民兵に支配され、彼らはいつも宗教的戒律をかかげて女子学生に嫌がら
せをしています」。
「多くの家族が娘を高校や大学にやるのを止めた」理由の一つがこれだ、と、
ジャッバルは説明した。
2007年の初め、イラク教育省は、女生徒と若い女性の70%以上が高校や
大学に通わなくなったことを確認した。
IPSのバグダッドでの取材に、一部の女性犠牲者は拉致される前に「悪」と
非難されていた、と住民が言った。
ゴミ捨て場で発見される死体の幾つかには、レイプと拷問の跡が残っている。
名前を明かさないでIPSの取材に応じた住民は、多くの遺体にはその女性が「
悪い」と書かれたメモが添えられていたと話した。
同様の問題はバクーバに住む女性にもふりかかっている。バクーバはディヤラ
州の州都でバグダッドの北東40キロに位置する。
住民の1人ウム・ハイデルは1月、IPSの取材に、「隣人が殺された理由は
、彼女がディヤラの警察本部で働いているのを非難されたことだ」と語った。「
その女性は警察ではなく知事の事務所で受付をしていたのだが、知事の事務所で
働く女性をチェックする係だった」。
このように殺されるので、数え切れない女性が仕事を辞めるか、自分を変える
ように迫られた。
バクーバではある女性が匿名で、「事務所で人事部の責任者だった」とIPS
に話した。「家族と親類から強く迫られて仕事を変わり、一従業員となることを
選びました」。
女性の生活スタイルが変わり、イラク中で女性が見違えるようになってきてい
る。彼女たちは今では、伝統的な地味な衣装以外のものを着用するのを、とても
怖がっている。現代的な服装は死刑宣告になりかねないのだ。民兵が支配する地
域では、ベールが特に欠かせない物になっている。
「民兵が我がもの顔で街頭にいるときは、女性はひじょうな痛みと危険を背負
わされます」と、3人の子どもを抱えるウム・バシムが最近の取材で語った。「
男性はどこにも出かけることができません。誰かが殺されると、遺体は死体管理
所に運ばれます。そこで家族が遺体を引き取るわけですが、しばしば女性が1人
で管理所に出かけて遺体を自宅に連れ帰るのです。その途中で民兵に襲われる人
もいるのです」。
狭い家のなかに閉じ込められ、女性は孤独と憂うつのなかで過ごしている。
バクーバに住む女性ウム・アリは、「女たちには余暇をすごす場所さえもない
」と語った。「今では私たちは家で過ごすしかありません。もう4年以上も、バ
クーバの外に旅行したことがありません。楫と子どもだけが生活のすべてになり
ました。目標もなく、教育を受けることもないのです。何週間も家から出られな
いこともあります」。
クルド人が支配するイラク北部では、「名誉殺人」が続いている。「名誉殺人
」という古い時代の慣習では、家族の名誉が最高のものと見なされる。昨年12
月、クルドの人権担当相ユーシフ・モハメド・アジズによると、少なくとも27
人のクルド人女性が「密通」の容疑で殺された。
イラクの女性たちは米軍収容所でも容赦されない。昨年12月、イラク議会の
女性と子ども委員会は、イラクおよび米軍収容所に拘束されている女性の釈放を
要求した。
同委員会のナディラ・ハビビ副委員長によると、約200人の女性がバグダッ
ドにあるアダラ収容所(イラク当局が管理)に拘束されている。ハビビの話では
、おそらく米軍の収容所にも女性が拘束されているという。「しかし、彼らは(
米軍)は私たち委員会の訪問をいつも拒否するので、米軍の管理する収容所にど
れだけの女性が投獄されているのか誰も知りません」。
バグダッド政府は基本的に無力であることから、宗教的な根本主義がイラクに
広がりつづけ、イラク人女性の苦境はもっと悪化するにように見える。
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☆★イラクを生きる女性(3) バシマの話
イラク情勢ニュース 速報&コメント 3月12日
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ホコリっぽい道路がバグダッド郊外にあるバシマの家に続いている。日だまり
のなかに座って孫たちを見ている彼女の姿が見える。その子らの父親は行方不明
になっている。「まったく消息のつかめない行方不明者」と言われる中の1人だ
。
バシマは60歳くらいだろう。彼女は何十年も黒い衣服を着ているが、それは
失った家族のためにどれだけ長い喪に服してきたかを物語っている。
彼女の家は土壁で、小さな窓と一つのドアがついた1部屋しかない。彼女は壁
を石こうで塗り、床にはアシで編んだマットを敷いていた。
天井の一部が剥(は)がれている。天井の梁(はり)はシロアリが食っている
。彼女は自分で泥と土と干し草をこねて屋根を葺(ふ)かなければならない。
一番近い水源地でも3キロ離れているという。
「水を貯めておくのにプラスチックの缶が2つあるだけ。1つの缶に20リッ
トル入る。水を運ぶのに、たまに近所からロバを借りるが、そうでないときは自
分自身で運んでいる。ここの環境はひじょうに悪い。水も灯油もないし、ガスも
十分ではない。夫が死んだあと年金は受け取っていない。全部自分でやっている
。」
孫を膝に抱きかかえるとき、涙が頬を伝った。その子はやせ細り、明るい色の
上着を着ているが、それは冬の寒気と夏の暑気から身を守る衣服ではない。彼は
親指をしゃぶっているが、祖父と父親、伯父さんと一緒に母親が殺されてからそ
うんな状況だという。
バシマは2人の孫を育てるために1日中働いている。
「夕食抜きで眠りにつくこともあるが、いくばくかの食料をもたらしてくれる
小さな土地にしがみついて生きている。暖をとり調理をするためには、私が出か
けて木を拾ってくる。」
「アッラーが私の魂を召し上げることを願ったこともあったが、私がいないと
誰が孫たちの世話をしてくれるだろうか。2人の孫の面倒を見る女性は私なんだ
(と思いなおす)。このような暮らしを何日してきたか、2年か、5ヶ月か、あ
るいは4日だったか。」
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http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/index.html
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2008/03/12 (水)
[飛耳長目録 today's news list]
☆コンクリートのベールの陰で生き延びる
☆イラクを生きる女性(3) 2008/03/12
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☆★: コンクリートのベールの陰で生き延びる
イラクの婦人デー WOMEN'S DAY-IRAQ
Surviving Somehow Behind a Concrete Purdah
ダール・ジャマイルの中東速報 2008年3月6日
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アラブ世界では他のどこよりも女性が権利と自由を有していたイラクは、教育
と専門職につくことを夢見る女性にとって、ひじょうに危険な国になってしまっ
た。
かつてサダム・フセインの統治した時代は比較的に世俗的な(政教分離の)社
会制度を維持し、イラクで女性が教授、医者、政府高官などの仕事に就くのは普
通であった。だが今日のイラクでは、イスラムの厳しい掟(おきて)に順応しな
いという理由で女性たちは民兵に殺されている。
バスラ警察のジャリル・ハヌーン本部長は12月、報道陣とアラブTVの取材
に、バスラ市だけでもこの5ヶ月に40人以上の女性が殺されたと語った。
「騒がれるのを恐れて、殺されたことを家族が届けでてない犠牲者がもっと多
くいるのは確かだ」とハヌーン警視正は言った。
シーア派のバドル旅団とマフディ軍に指揮された民兵が、厳しいイスラムの戒
律を強要している。シーア派が支配するイラク政府は彼らに暗黙の了解、もしく
は直接の支持を与えていると見られている。
ここ数ヶ月、ヒジャブを着用しない女性は民兵の第一番の攻撃目標になってい
ると、バスラでもバグダッドでも住民がIPSに語っている。多くの女性が、従
わなければ殺すと脅されていると証言する。
バスラからバグダッドに避難してきた大学生ザハラ・アルワンは、さる12月
、IPSの取材に語った--「民兵が私たちに近づいてきて言うのです。ヒジャ
ブを着用し、化粧をやめなければならない、と」。
アルワンの話では、化粧をしたり、頭のてっぺんから足の先まで覆ってないで
歩いている女性に対する警告が、バスラ中の壁に赤い文字で落書きされている。
バグダッド大学で社会学を研究しているマジン・アブドル・ジャッバルは、「
バグダッドの状況もたいして違わない」とIPSに話した。「すべての大学がイ
スラム系民兵に支配され、彼らはいつも宗教的戒律をかかげて女子学生に嫌がら
せをしています」。
「多くの家族が娘を高校や大学にやるのを止めた」理由の一つがこれだ、と、
ジャッバルは説明した。
2007年の初め、イラク教育省は、女生徒と若い女性の70%以上が高校や
大学に通わなくなったことを確認した。
IPSのバグダッドでの取材に、一部の女性犠牲者は拉致される前に「悪」と
非難されていた、と住民が言った。
ゴミ捨て場で発見される死体の幾つかには、レイプと拷問の跡が残っている。
名前を明かさないでIPSの取材に応じた住民は、多くの遺体にはその女性が「
悪い」と書かれたメモが添えられていたと話した。
同様の問題はバクーバに住む女性にもふりかかっている。バクーバはディヤラ
州の州都でバグダッドの北東40キロに位置する。
住民の1人ウム・ハイデルは1月、IPSの取材に、「隣人が殺された理由は
、彼女がディヤラの警察本部で働いているのを非難されたことだ」と語った。「
その女性は警察ではなく知事の事務所で受付をしていたのだが、知事の事務所で
働く女性をチェックする係だった」。
このように殺されるので、数え切れない女性が仕事を辞めるか、自分を変える
ように迫られた。
バクーバではある女性が匿名で、「事務所で人事部の責任者だった」とIPS
に話した。「家族と親類から強く迫られて仕事を変わり、一従業員となることを
選びました」。
女性の生活スタイルが変わり、イラク中で女性が見違えるようになってきてい
る。彼女たちは今では、伝統的な地味な衣装以外のものを着用するのを、とても
怖がっている。現代的な服装は死刑宣告になりかねないのだ。民兵が支配する地
域では、ベールが特に欠かせない物になっている。
「民兵が我がもの顔で街頭にいるときは、女性はひじょうな痛みと危険を背負
わされます」と、3人の子どもを抱えるウム・バシムが最近の取材で語った。「
男性はどこにも出かけることができません。誰かが殺されると、遺体は死体管理
所に運ばれます。そこで家族が遺体を引き取るわけですが、しばしば女性が1人
で管理所に出かけて遺体を自宅に連れ帰るのです。その途中で民兵に襲われる人
もいるのです」。
狭い家のなかに閉じ込められ、女性は孤独と憂うつのなかで過ごしている。
バクーバに住む女性ウム・アリは、「女たちには余暇をすごす場所さえもない
」と語った。「今では私たちは家で過ごすしかありません。もう4年以上も、バ
クーバの外に旅行したことがありません。楫と子どもだけが生活のすべてになり
ました。目標もなく、教育を受けることもないのです。何週間も家から出られな
いこともあります」。
クルド人が支配するイラク北部では、「名誉殺人」が続いている。「名誉殺人
」という古い時代の慣習では、家族の名誉が最高のものと見なされる。昨年12
月、クルドの人権担当相ユーシフ・モハメド・アジズによると、少なくとも27
人のクルド人女性が「密通」の容疑で殺された。
イラクの女性たちは米軍収容所でも容赦されない。昨年12月、イラク議会の
女性と子ども委員会は、イラクおよび米軍収容所に拘束されている女性の釈放を
要求した。
同委員会のナディラ・ハビビ副委員長によると、約200人の女性がバグダッ
ドにあるアダラ収容所(イラク当局が管理)に拘束されている。ハビビの話では
、おそらく米軍の収容所にも女性が拘束されているという。「しかし、彼らは(
米軍)は私たち委員会の訪問をいつも拒否するので、米軍の管理する収容所にど
れだけの女性が投獄されているのか誰も知りません」。
バグダッド政府は基本的に無力であることから、宗教的な根本主義がイラクに
広がりつづけ、イラク人女性の苦境はもっと悪化するにように見える。
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☆★イラクを生きる女性(3) バシマの話
イラク情勢ニュース 速報&コメント 3月12日
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ホコリっぽい道路がバグダッド郊外にあるバシマの家に続いている。日だまり
のなかに座って孫たちを見ている彼女の姿が見える。その子らの父親は行方不明
になっている。「まったく消息のつかめない行方不明者」と言われる中の1人だ
。
バシマは60歳くらいだろう。彼女は何十年も黒い衣服を着ているが、それは
失った家族のためにどれだけ長い喪に服してきたかを物語っている。
彼女の家は土壁で、小さな窓と一つのドアがついた1部屋しかない。彼女は壁
を石こうで塗り、床にはアシで編んだマットを敷いていた。
天井の一部が剥(は)がれている。天井の梁(はり)はシロアリが食っている
。彼女は自分で泥と土と干し草をこねて屋根を葺(ふ)かなければならない。
一番近い水源地でも3キロ離れているという。
「水を貯めておくのにプラスチックの缶が2つあるだけ。1つの缶に20リッ
トル入る。水を運ぶのに、たまに近所からロバを借りるが、そうでないときは自
分自身で運んでいる。ここの環境はひじょうに悪い。水も灯油もないし、ガスも
十分ではない。夫が死んだあと年金は受け取っていない。全部自分でやっている
。」
孫を膝に抱きかかえるとき、涙が頬を伝った。その子はやせ細り、明るい色の
上着を着ているが、それは冬の寒気と夏の暑気から身を守る衣服ではない。彼は
親指をしゃぶっているが、祖父と父親、伯父さんと一緒に母親が殺されてからそ
うんな状況だという。
バシマは2人の孫を育てるために1日中働いている。
「夕食抜きで眠りにつくこともあるが、いくばくかの食料をもたらしてくれる
小さな土地にしがみついて生きている。暖をとり調理をするためには、私が出か
けて木を拾ってくる。」
「アッラーが私の魂を召し上げることを願ったこともあったが、私がいないと
誰が孫たちの世話をしてくれるだろうか。2人の孫の面倒を見る女性は私なんだ
(と思いなおす)。このような暮らしを何日してきたか、2年か、5ヶ月か、あ
るいは4日だったか。」
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