だが、ウクライナ政府はこの提案を「侵略者への譲歩」にあたるとして退け、領土を譲り渡すことを含む取引はあり得ないと表明した。
冷戦時代に対ソ連緊張緩和政策の立役者となったキッシンジャー氏(99)は、プーチン氏が大統領に就任して以来、複数回会談している。
ロシアは、ウクライナに南部と東部地域のロシアによる併合を認めるよう求める一方、ウクライナは、ロシアが2014年に併合したクリミアを含む自国の領土から、全ての兵を退去させるべきと主張している。
キッシンジャー氏は寄稿文で「既に達成された戦略的変化を土台に、交渉による平和の実現に向けた新しい構造に統合する時期が近づいている」と指摘。「和平プロセスは、ウクライナを北大西洋条約機構(NATO)に結びつけるべきである。中立という選択肢は、もはや意味をなさない」とした。
キッシンジャー氏は5月、ロシアが2月の侵攻前の前線に撤退し、クリミアを「交渉」対象とする停戦案を提案したという。
ウクライナ大統領府のポドリャク顧問はテレグラムで「キッシンジャー氏が求めていても、口に出すのを恐れている処方箋は単純だ。東欧の他の国々に対する不侵略を保証するために、ウクライナの一部を犠牲にすることで侵略者をなだめるというものだ」と指摘。
「悪魔との合意、つまりウクライナの領土を犠牲にした悪い平和は、プーチン氏の勝利となり、世界中の独裁者の成功の秘訣となる」と警告した。
ウクライナ首都で未明に無人機攻撃 18機撃墜
【12月19日 AFP】ウクライナの首都キーウで19日未明、ドローン(無人機)攻撃があった。キーウは先週にも、ロシアによる侵攻後最大規模のミサイル攻撃を受けたばかり。
キーウ市当局は同日、午前1時56分に最初の空襲警報を発令、3時間後に解除した。その後、午前5時24分に再度発令したが、今度は30分以内に解除した。
同市の軍当局はソーシャルメディアに「空襲警報発令中に、首都上空ではUAV(無人航空機)23機が確認された。防空システムにより、うち18機が破壊された」と投稿。使われたのは、イラン製のシャヘド(Shahed)だったとしている。
キーウのビタリ・クリチコ(Vitali Klitschko)市長は市中心部と西部で複数の「爆発」があったと認めた。重要なインフラ施設が「損傷」したが、死者は出ていないという。
ロシア軍によるミサイルとドローン攻撃はウクライナ各地の都市で停電や断水を引き起こし、暖房も機能しなくなっている。
フランスや欧州連合(EU)は、ロシアによる民間インフラへの攻撃は戦争犯罪に当たると糾弾している。(c)AFP
コロナ有症状でも「通常勤務可能」 中国・重慶市、方針大転換
【12月19日 AFP】中国南西部の直轄市・重慶(Chongqing)当局は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状があっても「通常通り」出勤できるとする通達を出した。国営メディアの重慶日報(Chongqing Daily)が19日、報じた。
中国ではこれまで、感染者が1人確認されただけで数千人がロックダウンの対象となってきただけに、劇的な方針転換となる。
感染の徹底的な封じ込めを図る「ゼロコロナ」政策の突然の撤廃後、国内では感染が急拡大。当局も、感染状況の追跡はもはや「不可能」と認めた。
こうした中、重慶日報によると、中国最大規模の人口約3200万人を抱える重慶市当局は18日、「軽度の症状のある」市、党、州の公務員は「体調や仕事の必要性に応じて、個人的な防護措置をとった上で通常通り勤務できる」と通達した。
また、介護施設や学校、刑務所など特定の施設を除き、「不必要に」ウイルス検査を受けたり、陰性証明を求めたりしないよう市民に呼び掛けている。
中国各地の地方政府では一般的に、新型コロナの症状がある間は自宅待機を奨励しており、重慶市の方針は大転換といえる。
国内有数の経済拠点で6000万人以上が暮らす東部・浙江(Zhejiang)省の当局も18日、症状が軽い場合は「必要に応じて、個人的な防護策を講じることを前提に、勤務を続行できる」との方針を示した。
中国では、複数の病院や火葬場で感染者数や死者数の急増が報告されている。また、新年や春節の休暇で、農村部での感染が拡大するとの懸念も指摘されている。(c)AFP