(旧宅の花)
ついこのあいだの夕刻、小腹がすいてミルク紅茶を飲みたくなり、 台所に立った。
小鍋をとりだし、牛乳をそそぎ、テイパック2袋をいれて沸かしはじめた。
温まるにつれ、甘い牛乳紅茶の香りがたってきた。
私は突然、幼いころ母がいれてくれたミルク紅茶を思い出した。
甘くておいしくて 子供の私はびっくりして飲んだものだ。
私はなつかしくて思わず「おかあさん」とつぶやいた。
そして、台所の片隅で涙を流した。
私は反抗期が激しくて母に強く反抗した娘だった。
中学3年の2学期で親をふりきるように遠い学校へ進学するために家を出た。
それ以来、ホムシックにかかることは一度もなかった。
それなのに、最近やけに母のことを思い出す。母がしてくれたことをしみじみ思い出す。
そして泣く。
この年になり、はじめて、サトーハチローの詩集『おかあさん』の意味を理解しました。
アマゾンのレビューが過不足なく感想文を書いていますね。
まったくその通り。
あんなに子供のころなついていた子供が、中学生のころになり突然憎たらしい子に変わっても悲しまないで、世のおかあさん。
帰ってきますよ、あなたのもとに帰ってきますよ。しみじと思い出すのはあなたが亡くなってからですが。
おかあさんとは、それでいいのだと思います。わたしも、おかあさんだから、それでいいと思います。
OLD MAN
2013年2月16日
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