パリで夫と暮らす、86歳のデザイナー、弓・シャローさん。節約を意識しつつも、心と身体を健やかに保つために、お金の心配をしすぎないことも重要なのだそう。きょうという日をご機嫌に生きる、弓さんの「お金」に対する考え方をご紹介します。
お金は健康にいちばんかける。あとは心配しすぎない
お小遣いとして、フランスの口座から毎月300ユーロを3、4回引き出しています。
いま、ユーロ高で円安なのと、フランスは物価がかなり高いので、この金額は一概に日本と比べることはできないのですが、だいたい14~15万円です。
日本で3000円前後するフランスの有名なバターが、こちらでは500円しなかったり、野菜や果物、肉や魚、パンなどの食品や日用品は、為替レートから考えると、日本よりも安いのではないかと思います。
ただ、相対的に見ると、レストランや各種サービスにかかわるものについては、日本よりも高いかなと感じます。でも先ほど書いたように、一概には言えないのが本当に難しいところ。
お小遣いは、カードが使えないお店での食材や手芸材料などの支払い、友人たちと会ったときの食事や交際費、交通費として使っています。あとは、カードで支払うこともありますが、大好きなカジノの軍資金。大事です!
また、週に1、2回受けている整体の施術のお支払いにも使います。
決してお安くはありませんが、身体の不調はいっさいなくて、それは整体のおかげと私が実感しているので、高いとは思っていません。
日本への毎年の帰国も、クロードとの狭いヴァンでの旅も快適に過ごせています。いまのところ、入院をしたり大きな手術をしたりもありません。
毎年の楽しみだったクルーズの旅は、ここ2、3年で行かなくなりましたし、いまは大きな買い物をすることも、大きな出費のイベントもありません。
整体は私にとっていちばんの贅沢であり、健康法だと思って続けています。
家計簿はつけず、節約もとくに意識しない!?
シニアが楽しく機嫌よく過ごすためにもっとも大事なのは健康。ですから、いちばんお金をかけるべきは、自分の健康ではないかと考えています。
毎年1回、日本に帰国する飛行機は、身体が小さいのでエコノミーでもいいのですが、スペースが少し広くてラクができる、プレミアムエコノミーを利用します。もちろん、お値段が安くなるので、チケットは早めにとります。
滞在も、いつもお願いしている交通の便のよい、長期滞在型のレジデンスを予約します。少しばかり贅沢でも、慣れてる場所で落ち着いて過ごせるので、身体はラクです。
自分はいくつまで生きるのか、そして最期はどこで迎えるのか、だれにもわかりません。
でも願わくば、祖母のようにピンピンコロリで眠るように逝きたいと思っています。
健康のために自分でできることは努力しているつもりですが、最期の旅立ちについては、やはり「神のみぞ知る」。そう考えています。
命を全うするまでお金はいくらあればいいのか、もし大きな病気をしたら、いったいどれくらい必要なのか、ひとり、またはふたりとも施設に入ることになった場合はどうなるのだろう…と、お金のことは考え始めるときりがありません。
●お金の管理は苦手です
お金の管理ができなくて、すべて夫任せですが、さすがの私も自分の口座の残高は把握しています。
家計簿はつけていませんし、節約もとくにしていませんが、食材は余すところなく、きちんと使いきりますし、タオル1枚もムダなものは買っていません。
心配しすぎるよりも、楽しく使って、心と身体を健やかに保ちたいと思います。きょうという日を大切に過ごしたいのです。
クロードは緻密に計算して問題ないと言っていますが、すごく長生きして、そのとき、世界大恐慌になっていることだってあり得ます。
でも、そのときはそのとき。
老人ホームで、得意なアクセサリーや絵を描いて、個展を開いて販売してもいいじゃない! それくらいに構えています。