この2年くらい、家庭連合の解散に関して、解散事由の宗教法人法81条のの「法令」に民法を含むかが議論されてきました。
H7オウム高裁が「刑法等の禁止規範を定める実定法規」と判示して、それが妙覚寺裁判でも踏襲され、政府も、この「民法を含まない」という解釈に従っていました。
ところが、2年前の令和4年10月、小西議員に脅されて、岸田首相が一夜にして見解を変え、「法令」に民法も含みうる、って言っちゃいました。
それが昨年から家庭連合の過料裁判で争われ、地裁でも高裁でも「法令」に民法を含むと決定が出ちゃいました。
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しかし、今更ですが、「法令」の解釈が争われた他の判例を探すと、ありました。
最高裁H12.7.7は、「法令」を限定解釈していました。
「法令又は定款に違反する行為」をした取締役は株式会社に対して損害賠償責任を負う旨規定した旧商法266条1項5号(現行会社法423条では「任務を怠った」に改定。「法令」はなくなった)の「法令」を、
1 取締役を名宛人とし、取締役の受任者としての義務を一般的に定める商法254条等
2 取締役がその職務遂行に関して遵守すべき義務を個別的に定める規定
3 会社を名宛人とし、会社がその業務を行うに際して遵守すべき全ての規定
という限定をしていました。
このように、「法令」という広い用語だからといって、民法その他何でも含むわけではなく、「取締役や会社を名宛人とする」等の限定をしていた判例がちゃんとあるのです。
~~~以下引用~~~
最高裁判所第2小法廷 平成8年(オ)第270号 取締役損失補填責任追及及び共同訴訟参加事件 平成12年7月7日
株式会社の取締役は、取締役会の構成員として会社の業務執行を決定し、あるいは代表取締役として業務の執行に当たるなどの職務を有するものであって、商法二六六条は、その職責の重要性にかんがみ、取締役が会社に対して負うべき責任の明確化と厳格化を図るものである。
本規定は、右の趣旨に基づき、法令に違反する行為をした取締役はそれによって会社の被った損害を賠償する責めに任じる旨を定めるものであるところ、【要旨1】取締役を名あて人とし、取締役の受任者としての義務を一般的に定める商法二五四条三項(民法六四四条)、商法二五四条ノ三の規定(以下、併せて「一般規定」という。)及びこれを具体化する形で取締役がその職務遂行に際して遵守すべき義務を個別的に定める規定が、本規定にいう「法令」に含まれることは明らかであるが、さらに、商法その他の法令中の、会社を名あて人とし、会社がその業務を行うに際して遵守すべきすべての規定もこれに含まれるものと解するのが相当である。
けだし、会社が法令を遵守すべきことは当然であるところ、取締役が、会社の業務執行を決定し、その執行に当たる立場にあるものであることからすれば、会社をして法令に違反させることのないようにするため、その職務遂行に際して会社を名あて人とする右の規定を遵守することもまた、取締役の会社に対する職務上の義務に属するというべきだからである。
したがって、【要旨2】取締役が右義務に違反し、会社をして右の規定に違反させることとなる行為をしたときには、取締役の右行為が一般規定の定める義務に違反することになるか否かを問うまでもなく、本規定にいう法令に違反する行為をしたときに該当することになるものと解すべきである。
~~~引用終わり~~~
取り急ぎ事実のみご報告差し上げます。